ヤンググランプリは自信しかないです

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強くなるためなら大金も惜しまない

中石湊, オールスター競輪(G1), 7R, 函館競輪場

Q:全然違う話をしますね。競輪選手として、若干20歳で大金を使える状態になっているわけですが、金銭感覚はバグってこないですか?散財しているという噂を耳にしたことが……。

自分ではバグっていないと思っているんですけど、他の人からするとそう見えることもあるのかもしれないです。この間は、クールダウン用に200万円のロードバイクを買う予定です。

Q:それは……バグってる。

一般的には、それは高すぎってなると思います。でも、200万円のロードバイクって、乗らせてもらったんですが軽さが違うんですよ。クールダウンといえども、安いものに乗っていたら疲れてしまう。良いものに乗ればクールダウンがしっかりできて、他の人よりパフォーマンスが上がって強くなる。強くなったら今以上の稼ぎができる。だとしたら、200万円のロードバイクは安いです。周りから見ると価値観が壊れているのかもしれないですけれど(笑)。

競輪で使うフレームも、より良いセッティングを求めて作ってみて、それで稼いだ方が一番良いでしょみたいな感覚があります。僅かの差で負けてしまうのを、フレームでカバーできると考えたら安いなと思ってしまうんです。それが、僕なりの正しいお金の使い方かなと考えています。ただ、そういう物の他に物欲は無いんです。

進む道はイエスマン?「自分は置いてきました」

中石湊

Q:とはいえ、ちょっとだけ心配です。自分はちゃんと持っていますか?

ないですね。だいぶ前に自分は置いてきました(笑)

Q:めちゃくちゃキラーワードですね(笑)。ヤンググランプリでリベンジしたら、取り戻せるんじゃないでしょうか?

そうなんですかね?いや、でも高校生の時の自分のままで進んでいたら、今年ここまで強くなれなかったと思います。

Q:“置いてきた昔の自分”は、どんな感じだったのでしょうか?

何でも変に考え過ぎてしまうんですよ。日常でバックを踏んでしまうんです(笑)。

Q:あははは(笑)。

誰かとどこか行こうってなっても、考えすぎて1回止まってしまうんです。そういう人って、行きたくないのかなって思われてしまう。でも、波が来たならそれは運命じゃないですか。乗った方が全て上手くいく、どうにかなるっていう考え方に切り替えたんです。

Q:それはどうして、切り替えられたのでしょうか?

(太田)海也さんとか、先輩からの助言です。映画の『イエスマン “YES”は人生のパスワード』*を見た方がいいって。

※ジム・キャリー主演の映画。何にでも「ノー」と答える“ノーマン”だった主人公が、「イエス」と答えるように変わったことで人生が好転していくというコメディ

Q:その映画に影響を受けた?

まだノーマンのシーンしか見れていないんですけど。

Q:大事なところが見れてないですね(笑)。

昔見たことはあるんですよ。でも覚えていないから「もう1回見ますね」って言ってて、それでノーマンのシーンまで見たところであらすじを思い出したんです。そこで「あ、そういうことか。今の自分みたいだ」って思って。映画を見て、変わったんですよ。

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Q:イエスマンになったことが、中石選手の成長の秘訣ということでしょうか?

そうですね。流れに乗ったおかげで、色々な経験ができてパフォーマンスが大きく上がりました。でも今は、それだけでは少し上手くいかなくなってきた気がするんです。それで(山﨑)賢人さんと海也さんに相談したら「映画の主人公と同じことになってるよ」って。

イエスマンも、流れに乗りすぎて自我がなくなるというか、壁にぶつかるそうなんです。でもそれを乗り越えて、もう1回イエスマンの良さが出てくるらしくて。

自分はその部分を見ていないのですが(笑)、今の自分はイエスマンと同じ壁にぶつかっているらしいです。だからこの先、まだ観ていないですが(笑)、自分の人生でイエスマンの映画のように壁を乗り越えていこうと思っています。

本当にイエスマンのおかげで人生が楽しくなってます(観ていないですが)。

Q:あれ、これ何のインタビューですか?

イエスマンのインタビューです(笑)。