10月22日から26日にかけてチリ・サンティアゴで開催される『2025世界選手権トラック』。年に1度、トラック競技の「世界No.1」を決定する大会だ。
日本にとっては、2024年に手にしたアルカンシェルの防衛、そして更なるメダルの獲得が目標となる。
本記事では大会公式サイトより公開されたエントリーリストを基に、本大会「中長距離種目」の注目選手を紹介していく。
中長距離 実施種目
個人パシュート、チームパシュート、マディソン
スクラッチ、エリミネーション、ポイントレース、オムニアム
男子 注目選手
アシュリン・バリー(アメリカ)
(左から)アシュリン・バリー、ヤネ・ドレンボス、窪木一茂
エントリー種目:個人パシュート、オムニアム、チームパシュート
まず注目したいのが、今年3月の『2025ネーションズカップ』で2枚のメダルを手にしたアメリカのアシュリン・バリー。
ネーションズカップで獲得したのは、オムニアムとチームパシュートの銀メダル。特筆すべきは、これがエリートカテゴリー初出場の大会であり、なんと当時17歳(現18歳)であったということ。ちなみに、先日の『世界選手権ロード』ではジュニアカテゴリのタイムトライアルで銀メダルを手にしている。
すでに若手最注目株であることは疑いようがないが、自国開催のオリンピックに向けて、この大会で若手の枠を飛び越え一気にスターダムへと駆け上がる可能性もありそうだ。
トビアス・ハンセン(デンマーク)
(左)トビアス・ハンセン
エントリー種目:スクラッチ、エリミネーション、ポイントレース、マディソン、チームパシュート
エリミネーション、チームパシュートの現世界チャンピオン。
『2024世界選手権トラック』スクラッチでも、窪木一茂に続く銀メダルを獲得した若手選手。
ニクラス・ラースン
その他チームパシュートの優勝メンバーであり、『2024世界選手権トラック』ポイントレースで銀メダルを獲得したニクラス・ラースンらにも要注目だ。
リンジー・ド ヴィルダー(ベルギー)
エントリー種目:オムニアム、マディソン、チームパシュート
『2024世界選手権トラック』オムニアムで自身初、そして男子オムニアムにおいてベルギー初のアルカンシェルを勝ち取った選手。
同大会ではマディソンの銀メダルも獲得している実力者だが、チリで開催される今大会でも、エントリーしている個人種目はオムニアムのみ。“一点集中”で防衛・2連覇を狙う。
ジュールス・ヘスタース
その他ベルギーからは、『2025ネーションズカップ』エリミネーションを制したジュールス・ヘスタースらもエントリーしている。
ヤネ・ドレンボス(オランダ)
エントリー種目:スクラッチ、マディソン
『2024世界選手権トラック』オムニアムで、リンジー・ド ヴィルダーらに続く銅メダルを獲得した25歳。
2025年シーズンでは、『2025ネーションズカップ』オムニアムで3位の窪木一茂に22ポイント差を付け優勝。ヨーロッパ選手権にて金銀1枚ずつを獲得する好調ぶりを見せている。
『2025世界選手権トラック』ではスクラッチとマディソンに絞りエントリー。アルカンシェルを虎視眈々と狙う。
エリア・ビビアーニ(イタリア)
エントリー種目:エリミネーション
トラック・ロードのトップ選手として長年活躍してきたイタリアのベテラン36歳。
ロードで鍛えられた経験とスプリント力を活かし、エリミネーションでは2021年の世界選手権以降、4年連続でメダルを獲得しているスペシャリストだ。
今大会のエントリー種目も、やはりエリミネーション。“職人技”に要注目だ。
ディラン・ビビック(カナダ)
エントリー種目:スクラッチ、エリミネーション、オムニアム、チームパシュート
『2022世界選手権トラック』スクラッチにおいて、当時19歳にもかかわらず2位の窪木一茂を破る優勝という、鮮烈なデビューを果たした若手選手。
2023年・2024年大会ではアルカンシェルこそ手にしていないものの、3大会連続で表彰台を獲得しており、22歳にして、既にその実力を知らしめている。
今大会ではオムニアムほか、個人2種目、そしてチームパシュートにもエントリー。「アルカンシェル複数獲得」の野心を燃やしチリへ乗り込む。
紹介しきれない……その他の注目選手
そのほかにも、注目選手が多数エントリー。
パリ五輪マディソンで金メダル、オムニアムで銀メダルを獲得したユリ・レイタオ(ポルトガル)。
ユリ・レイタオ
長年ニュージーランドにアルカンシェルやメダルをもたらしてきたキャンベル・スチュワートらもエントリーリストに名を連ねている。
パリ五輪オムニアム金メダリストのベンジャミン・トマ、ジョナサン・ミランやフィリポ・ガンナなどのイタリアTTスペシャリストらの出場はなかったものの、世界の強豪たちによる白熱の争いを見ることができそうだ。