2025年8月22日より、静岡県・伊豆ベロドロームで幕を開けた『2025全日本自転車競技選手権大会・トラック』。大会初日に行なわれた女子のチームスプリントの模様をお伝えする。
チームスプリントとは?
3名でトラック3周のタイムを競う種目。
3人同時にスタートし、縦1列の状態から、1周ごとに先頭選手が離脱。3人目の選手のフィニッシュタイムを競う。
女子チームスプリント
全6チームのエントリーのなか、注目されたのはチーム楽天Kドリームス。
アジア選手権で銅メダルを獲得、ネーションズカップでは日本記録を更新(47秒733)した酒井亜樹・佐藤水菜・仲澤春香という布陣で挑む。
予選5組目に登場したチーム楽天Kドリームス。
1走の酒井が19秒539というタイムで飛び出していくと、2走の佐藤、3走の仲澤へとつないでいき、48秒143というタイムでフィニッシュ。
アジア選手権の決勝タイムを上回るタイム、そして大会記録(2022年:48秒720 太田りゆ/佐藤 水菜/梅川 風子)を更新する走りで決勝へ。
予選2位は日本体育大学(大野風貴芽/米田千紘/伊藤來未)で53秒140となった。
決勝 秘める無限の可能性
迎えた決勝。予選タイムには5秒ほどの開きがあるだけに、注目されたのはチーム楽天Kドリームスの記録。
決勝は、2走と3走を入れ替えて酒井→仲澤→佐藤という並びで臨んだ。
日本記録の更新に期待が高まる中、スタートが切られると、1走の酒井が予選を上回る19秒368というタイムで駆け抜けていく。
2走の仲澤がやや離れてしまったように見えたが、そこからぐんぐんとスピードを上げていくと、仲澤から3走の佐藤へとつないだタイムは予選よりコンマ6秒遅く33秒905。
記録の更新は無理かと思われた中、ここから猛スピードで走った佐藤。
フィニッシュタイムは47秒650と予選で出した大会新記録を更に半秒ほど上回り、更に“高速バンク”とされるトルコ・コンヤで樹立した記録をさらに伸ばす、日本新記録となるタイムで優勝を決めた。
このチームでの3戦目で、2度目となる日本記録更新。
今後への無限の可能性を抱かせる快勝となった。銀メダルは日本体育大学で52秒435。
なお、銅メダルはシクロクロスを8連覇の実績を残す豊岡英子率いるBicicletta di Maruが獲得。
順位 | 所属 | 選手名 | 決勝タイム |
1位 | チーム楽天Kドリームス | 佐藤水菜 酒井亜樹 仲澤春香 |
47.650 ※日本新 |
2位 | 日本体育大学 | 大野風貴芽 米田千紘 伊藤來未 |
52.435 |
3位 | Bicicletta di Maru | 豊岡英子 鈴木章代 五味田奈緒 |
53.184 |
優勝:チーム楽天Kドリームス
佐藤水菜
世界選手権に向けたセレクションという意味も兼ねて、2走・3走を予選と決勝で入れ替えつつのレースとなりました。このチームでは3度目の大会となりますが、(酒井)亜樹ちゃんもタイムを上げてきて、チーム全体としても大きく進歩できているとは思います。
ただ、世界に目を向けるとまだまだ物足りないタイムですし、特に予選での2走としての自分の走りは、改善できる点がまだまだあります。『世界選手権』まではあと2ヶ月ほど。チームとしても、個人としても、もっとタイムを上げていかないとならないと思います。
酒井亜樹
予選での走りでは、ゲートが開くタイミングと自分の動き出しの部分にズレがあったこと、そして走り終わりの退避の部分で、もっと改善できる部分があるなと思っていました。
その部分に集中すればもっとタイムを縮められるはずだ、と決勝に臨んだなかで、うまく修正することができ、日本記録につながる走りでできたのは良かったです。
仲澤春香
(このチームで挑んだ)『アジア選手権』『ネーションズカップ』は、経験不足からすごく焦ってしまい、全然うまくいかなかったという感覚でした。
初戦から半年くらいの時間が経ち、今回の決勝で日本記録を更新できたことからも、少しずつ改善はできているのかなと感じます。ただ、まだまだベースの部分が低すぎるので、世界選手権に向けてもっともっと上げていけるように頑張ります。