2030年に島根県で開催予定の『国民スポーツ大会(国スポ)』。その自転車競技会場が、出雲市の「平成スポーツ公園」に新設される方針が明らかになった。
「幻」となりかけた計画
島根県では、2030年に開催予定の国民スポーツ大会(旧・国体)に向け、自転車競技の会場として出雲市内に新たな競技場を建設する方針をかねてから示していた。しかし2024年5月、建築費の高騰などを理由に、「整備計画の見直し」を発表。
島根県には競輪場がなく、自転車競技をするアマチュアサイクリスト、学生らが練習できる競技場は「大田競技場」のみ。しかし、大田競技場は老朽化が進んでいたこともあり、上記の新設計画が決まったことで大田競技場の敷地の一部を返還。そのうえでの「整備計画の見直し」となったため、「県内に自転車競技場がなくなってしまう」という事態も考えられた。
県内外から1万筆以上の署名 新設計画が新たにスタート
県内外から集まった1万筆以上に及ぶ署名や島根県自転車競技連盟による要望書の提出を受け、島根県は方針を再検討。
当初建設を予定していた場所の代替地の調査などを経て、2025年6月の県議会にて「平成スポーツ公園野球場で整備した場合の整備費が、令和5年10月の財政見通しで想定していた額を下回る見込みであることから、同地において、新設の具体的な検討を進めてまいりたいと考えております」という方針が発表された。
島根県 | 令和7年6月定例県議会知事提案理由説明要旨(14.スポーツ・文化芸術の振興)
2029年度に運用開始予定
報道によると、今年度中にも設計に着手、2029年度に運用を想定しているとのこと。島根県自転車競技連盟は、多くの署名・応援への感謝を伝えるとともに、「全国の自転車競技者にご活用していただける競技場を目指して活動を進めて行きたい」とするコメントを発表している。なお「大田競技場」は、新競技場の運用が始まり次第解体が予定されているという。
地域の自転車文化の発展に大きな影を落としかねなかった「自転車競技場消滅」という回避を喜びつつ、新たな競技場の完成を心待ちにしたい。