関東各所で桜が咲き始めた4月上旬、パリ2024オリンピック 男子ケイリンで4位となった中野慎詞が地元の岩手県花巻市に凱旋。自身初となる地元での講演会が実施された。
地元から輩出されたオリンピアンを観に、というよりは“地元から巣立った悪ガキ”を観に、多くのサポーターが集まった講演会の様子をレポートする。

キッズと一緒に入場
歓迎される地元出身のオリンピアン
岩手県花巻市新堀町体育協会が70周年の記念事業として主催した「中野慎詞トークショー」。
会場には地元で生まれたオリンピアンに会うために100人以上が集まった。その多くは、中野を小さい頃から知る地元の方々。
地元の方の話の中では、池の掃除をしていたら中野が投げ捨てた一輪車が発見されたなど驚きのエピソードも交じり、オリンピアンに会うというよりは大きくなった中野慎詞に久々に会う、そんな雰囲気の中でトークショーが実施された。
自身初となるトークショーで中野は自分の夢や大切にしたい3つのキーワード(夢を持つこと、諦めないこと、自分を信じること)を丁寧に伝えていく。
小さい頃はヤンチャだったという中野は、自身がどのようにして自転車競技に出会いオリンピックに出場するまでに至ったのか、その点に関して地元の人たちに説明していく。
高校で全国制覇。その後は早稲田大学に進学し、ナショナルチーム入り、そしてパリ2024オリンピックに出場。
経歴だけ見ると順風満帆な中野だが、歩んできた道は文字面ほど簡単なストーリーではなかった。アップダウンを経て出場できたオリンピックまでの道、苦しくもあった思い出を振り返る中野の口からは、来場してくれた人々への感謝の言葉が漏れた。
中野「早稲田大学に行くことも、オリンピックに出場することも、小さい頃からキャリアを描いていて、中学校の時に先生に説明をしました。僕の頭では早稲田大学に進学することは無理だということは皆分かっていたと思います。オリンピックに出場するということも夢を見るような話でしかありませんでした。でも僕の話を否定しなかった先生がいてくれたお陰です。
師匠の佐藤友和さんと出会い、競輪選手になるという夢が持てました。次は自分が子供の頃に夢を持ったように、誰かに良い影響を与えられるような人になりたいと思います」
講演会は昔の自分の話から始まり、競輪選手ならではの車についての話、オリンピックで経験した絶望、そして次のオリンピックに向けての抱負など、中野がこれまでの自身の人生を振り返る形で行われた。終盤にはサイン色紙や中野が持参したオリジナルグッズプレゼント会、そして写真撮影会などが行われ、地元の方々が中野の凱旋を喜び、盛況の中で幕を閉じた。

講演会のスライドの一部

ヒーローとなった地元の“元悪ガキ”中野
中野慎詞 「これからも僕を応援してもらいたい」
オリンピックの時にスポーツ選手が「皆さんの応援が力になりました」と言いますが、今回オリンピックに行き、新堀地区を含めて多くの皆さんの声が力になり、緊張してスタートラインに立った時に「頑張るぞ!」と思えました。結果は4位で皆さんの期待に応えることは出来なかったのですが、皆さんの応援が本当に力になりましたし、これからの原動力にもなります。これからも僕を応援してもらえれば嬉しいです。本当に本日はありがとうございました。
中野選手は岩手、いや、日本のスーパースター
岩手県立紫波総合高等学校 自転車競技部 外村光さん、外村拓也さん、上川和眞さん インタビュー

左:外村光さん 中央:上川和眞さん 右:外村拓也さん
Q:中野選手は地元のスーパースターでしょうか?
上川さん:地元ではなく、岩手のスーパースター、いや日本のスーパースターだと思います。
Q:スーパースターの言葉は参考になりましたか?
外村(拓)さん:めっちゃ参考になりました。
上川さん:僕はよく練習中に諦めることがあるのですが、中野選手は諦めないで今ここまで上がっています。僕も応用したいと思います。
外村(光)さん:7月末のインターハイに向けて、あらためて頑張っていこうと思うことができました。
Q:皆さんの休みの日に実施された今回の講演会でしたが、参加して良かったですか?
一同:良かったです!こういった機会をもっと設けてもらえれば嬉しいです。