2025年3月14日よりトルコ・コンヤにて開幕した『2025ネーションズカップ』。
大会2日目に行われた女子スプリントは、予選で世界新+日本新が樹立される「タイム更新祭り」となった。レースの模様をレポートする。
女子スプリント
今大会は予選(トップ4はシード)⇒1回戦⇒2回戦⇒準々決勝(ここから2本先取)⇒準決勝⇒決勝の勝ち上がりとなる。
日本からは、アジア選手権のスプリントを圧倒的な強さで制した佐藤水菜、そして仲澤春香が出場。
そのほか、昨年の世界選手権銀メダリストのヘッティ・ファンデヴォウ(オランダ)、パリオリンピック銀メダリストのリー ソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)、マチルド・グロ(フランス)、ステフィー・ファンデルピート(オランダ)ほか強豪ぞろいの全35人がエントリーした。
予選200mFTT 世界新、日本新、自己ベスト
会場を驚かせたのは35人中6番目に出走したユアン・リイン(中国)。世界記録の更新となる、女子選手史上初の9秒台を叩き出した(9秒976:それまでの世界記録は10秒029)。
そしてこの世界新に迫ったのは佐藤。パリオリンピックで記録した10秒257を上回る10秒170の好タイムで走り日本記録を更新。予選を2位として2回戦へのシード権を得る。
仲澤も自己ベストを更新する10秒734を記録。予選24位で、1回戦進出を果たした。
予選トップ4(2回戦へのシード権獲得)
1位:ユアン・リイン(中国):9秒974 ※世界新
2位:佐藤水菜(日本):10秒170 ※日本新
3位:リー ソフィー・フリードリッヒ(ドイツ):10秒189
4位:ヘッティ・ファンデヴォウ(オランダ):10秒191
仲澤の挑戦
仲澤は予選9位、スピードでは格上となるローリ・トーマス(イギリス)とのレース。1回戦は1本先取で勝ち抜けとなる。
仲澤が前で進むレース。残り1周半で仲澤が駆けていくと、前にいる仲澤を射程範囲内で逃さないトーマス。
ラスト半周で仲澤をとらえて追い抜くと、そのままトーマスが先着。仲澤は2回戦には勝ち上がれなかった。
準々決勝 個人枠(AIN)で出場したルーキーとの勝負
佐藤が対戦するのは、予選7位のアリナ・リシェンコ(AIN)。2024チャンピオンズリーグでは無類の強さを見せ、総合トップの証であるブルージャージを着用した強敵との勝負となった。ここからは2本先取で勝ち上がりが決まる。
1本目を相手に先取されての2本目。
佐藤が前、リシェンコが後ろで進むレース。3~4車身の間を保って進む両者。
佐藤は後ろとの差を確認しながら、ペースを上げていく。
ラスト1周を前にリシェンコが徐々に差を詰めていくと、最終周回に入り両者スプリント体制へ。
残り半周で横並びになり、佐藤が内側で粘るが、じわじわとリシェンコに前に出られてしまう。
最終ストレートで車輪半分ほど前に出たのはリシェンコ。佐藤も内側で最後のスパートをかけるがリシェンコに届かず。
佐藤をストレートで下したリシェンコが準決勝進出を決めた。佐藤の最終成績は5位。
決勝 世界最速vsチャンピオンズリーグ総合優勝者
決勝は予選で世界新を記録したユアン・リイン(中国) vs アリナ・リシェンコ(AIN)。
レースは1本目、2本目とも同じような展開となった。リシェンコが内側、リインが外側となり、リシェンコが巧みにリインの進路を阻みながら進んでいく。
しかし、世界最速のリインは上手さや強さが関係無いほどのスピードを見せてリシェンコを置き去りにし、2本を力技で制して先取。2005年生まれ、若干19歳のルーキーが見事に優勝を決めた。
3位決定戦はヘッティ・ファンデヴォウ(オランダ) vs ミリアム・ヴェチェ(イタリア)。
この対戦はファンデヴォウがストレートで力の違いを見せて勝利する形となった。
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | ユアン・リイン | Yuan Liying 苑丽颖 | 中国 |
2位 | アリナ・リシェンコ | Alina Lysenko | AIN |
3位 | ヘッティ・ファンデヴォウ | Hetty van de Wouw | オランダ |
5位 | 佐藤水菜 | 日本 | |
24位 | 仲澤春香 | 日本 |