2025年1月21日放送の「開運!なんでも鑑定団」で登場したタンデム自転車。

木村和平, 三浦生誠, Para, 2023 Japan Track Cup Ⅱ

2人乗りの自転車で、パラリンピックの自転車競技でも採用されている。

パラサイクリングにおけるタンデム自転車

自転車競技において、タンデム自転車は視覚障害のある選手のための自転車として使われている。前の席に晴眼の選手(パイロット)が、後ろの席に障害を持つ選手(ストーカー)が座り、ペアを組んで自転車を走らせる。

この際に重要となるのは「いかにお互いが信じ合えるか」ということ。後ろに座るストーカーの選手は、ペダルを漕ぐペース、スピードを上げるタイミング、体の傾け方など、全てをパイロットの選手に委ねることとなる。

2024年パリパラリンピックで代表として活躍した木村和平選手は

「やはり2人乗りなので、自分の好きなように乗ればいい、というわけではありません。
この3年間、1回走るごとに、操作性の面で三浦(生誠)選手が難しいところはなかったか、逆に自分がどこに恐怖を感じたかということを話し合いながら、ポジションを含め走り方を決めてきました」

とタンデム自転車ならではの難しさを語っている

木村和平, 楽天ソシオビジネス株式会社, 三浦生誠, 日本大学, , パラサイクリング, 1kmTT, MB, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

左:木村和平、右:三浦生誠

パイロットを担う選手もまた重要だ。上述したようにストーカーの選手との信頼関係が必要なことに加え、パイロット自身にも卓越した技術やスピードが求められる。

パリパラリンピックにパイロットとして出場した三浦生誠選手は、2025年春に競輪選手養成所を卒業予定の、競輪選手の卵。これまでにはかつて自転車競技を行ってきた競輪選手や、自転車競技の世界レベルで活躍した経験のある選手などがパイロットを務めている。

「もう一度自転車に乗れる」活用されるタンデム自転車

自転車競技の選手だけでなく、一般サイクリストにもタンデム自転車は活用されている。

2023年夏に、全国で唯一タンデム自転車による公道の走行が許可されていなかった東京にて、タンデム自転車の公道走行が解禁された。

2人乗りタンデム自転車 東京で公道走行可能に 視覚障害者は | NHK首都圏ナビ

イベントやテーマパークなどで、2人乗り自転車を親子で楽しんだことがある方もいるかもしれない。もちろんそのような楽しみ方も可能だが、より特筆すべきなのは視覚障害のある方に「自転車に乗る喜び」を再び感じてもらえることだろう。

生活や趣味における選択肢が狭められざるをえない、視覚の障害。「もう自転車には乗れない」と諦めていた人たちに、タンデム自転車は新たな楽しみをもたらしてくれる。視覚障害だけでなく、例えば歩行にふらつきが見られるために運動不足になりがちな人なども、場合によってはタンデム自転車によって「体を動かす」ことが可能かもしれない。

木村和平, 三浦生誠, Para, 2023 Japan Track Cup Ⅰ

競技レベルから趣味レベルまで、さまざまな人々に可能性を与えうるタンデム自転車。

日本パラサイクリング連盟など各種団体が行うパラサイクリング体験会にてタンデム自転車を体験することができる。ご興味のある方はぜひ足を運んでみていただきたい。

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