自転車トラック競技ナショナルチーム恒例、冬の「沖縄合宿」。
今年は、この合宿初参加となる若手選手が複数存在している。
その1人が、小原乃亜。
2024年に短距離女子エリート強化指定選手Bに選出、全日本選手権 女子スプリントでは銅メダルを獲得するなど活躍を見せる一方、「日本競輪選手養成所 第130回」の入所試験に合格。春からは養成所入りも決定している。
その素顔に迫るインタビューを、途中登場した“ゲスト”の声も交えつつお伝えする。
小原乃亜とは?父が『弱虫ペダル』にハマったのがきっかけ
Q:まず基本的なプロフィールから教えてください。自転車以外のスポーツは何かやっていましたか?
お兄ちゃんが野球をやっていて、ちっちゃい頃はそれに付いて行ったりしました。小学校の時はスポーツは特にしていなくて習字をしていましたね(笑)。中学校からはバドミントンです。
Q:スポーツ少女だったわけではないのですか?
そういうわけではなかったです。でも、家族はみんな何かのスポーツをしていました。
Q:中学校でのバドミントンの成績はどうでしたか?
全然弱くて、地区大会止まりでした。先輩が強かったので、団体では県大会に出させてもらったこともあります。ただ、朝から夜まで練習はしていました。
Q:そこから自転車競技を始めたのはどういう理由なんでしょうか?
高校でもバドミントンをやろうと思っていたのですが、中3の秋くらいに家族でロードバイクに乗り始めたことがきっかけで、自転車に興味を持ちました。そこから、自転車競技部がある高校を調べて、岩手県立紫波総合高校に進学して自転車競技を始めました。
Q:家族でロードバイクって、すごくリッチな家族な感じがします(笑)
そんな高い自転車を買ったわけじゃないですよ(笑)。『弱虫ペダル』きっかけで、お父さんが最初にロードバイクにハマったんですよ。そこから家族に派生していきました。
Q:ロードに乗って、楽しかったですか?
本格的に乗っていたわけではないのですが、楽しかったです。家の近くに夏油っていう山があるんですけど、そこを両親と登ったりしていました。
努力の賜物
Q:高校で自転車競技を始めたときは、「プロになりたい」というよりは「やってみたいな」という感じでしたか?
そうです。「競輪」っていうものもほとんど知らないくらいで、競輪選手になろうとも思っていなかったです。
Q:高校で成績は残せました?
いえ、高校時代は全然無名でした。高3(2020年)の時に、全日本選手権トラックでケイリン(ジュニア)は優勝できましたけど、インターハイで表彰台に上がることはなかったです。
Q:そういった実績を残して、八戸学院大学に進学したんですね。以前、八戸学院大学の三浦康嵩ヘッドコーチとお話しした時に、「乃亜はとにかく練習量がすごい」とおっしゃっていました。
あははは(笑)。恥ずかしいですね。三浦さんには、私が1年の時からトレーニングを見てもらっていました。
Q:そんなに練習していたんですか?
私は元々が強くないですし、器用でもないです。そのことは自分で理解しているので、人一倍やって、考えないとって思っていました。もちろん辛い時もありますけど、それが嫌だったり苦になったりということはないですね。
世界の舞台で戦いたい
Q:ナショナルBチーム入りしたのは2024年。声がかかった時は、どういう気持ちでしたか?
大学1年生の時は、とにかく大学で結果を出せるように、優勝できるような選手になれるように、って頑張っていました。そこから2年生になって、明確に「ナショナルチームを目指したい」と思うようになったんです。そこからはナショナルチーム入りを目標に取り組んでいたので、声をかけてもらった時は嬉しかったですし、自分の目標をひとつクリアできたなと思いました。
Q:「ナショナルチームを目指したい」というのは、どういうモチベーションですか?
自転車競技で、世界の舞台で戦いたいというのがメインでした。
競輪選手になるということも当時から考えてはいましたが、競技で戦いたいという想いが強かったですね。
Q:春からは養成所入りも決定しています。競輪選手への道はどのように考えていますか?
競技も競輪も同じくらい頑張りたいという気持ちです。身近にトップの競輪選手がいる環境なので、自然と競輪選手ってカッコ良いな、と憧れを持つようになりました。
Q:たしかに、今の環境に身を置いていたら、そう思うのは自然かもしれません。
ナショナルチームに入った時から、競輪選手になることは考えていました。自転車がすごく好きなので、それを職業にできるのはすごくいいなと思って。競技をやるうえでもレース経験は大事だと思うので、競技にも活かせると思っています。
(背後からスマホカメラのシャッター音。そして佐藤水菜の乱入)
冬空の下で場所取りしたガールズグランプリ
Q:急に世界チャンピオン……佐藤水菜選手が邪魔をしに来ましたね……。
小原乃亜:私、年末のガールズグランプリ見にいきましたよ。競輪ファンの皆さんに埋もれながら、発走機の金網の前から「水菜さーん!」って声出してました(笑)。いい場所で見られるように、ずっと場所取りしてたんですよ。
Q:え、いつから?
小原乃亜:3Rくらいから現地入りしました。(山﨑)賢人さんのレースもあったので、人がいなくなったタイミングで場所を取って、9レースくらいから発走機のところで待ってました。腰が痛かったです(笑)
佐藤水菜:事前に教えてくれたらそこを気にして見てたのに、教えてくれないから(笑)。まさかいるとは思わなかった。
小原乃亜:中継動画を見返したら、ちょっと映ってて恥ずかしかったです。ちょうど「水菜さーん!」って言ってるところが映ってました(笑)。