KEIRINグランプリ2024を前に、ナショナルチームを卒業した選手に注目。
この記事で紹介するのは脇本雄太選手。2022年にはグランプリで優勝。2024年はウィナーズカップ(G2)と競輪祭(G1)を制し、獲得賞金額を2位として年末の大一番に臨む。
すでに発表されているが、今回も古性優作とのラインで走ることが予定されている脇本。
前で脇本が駆け抜け、後ろを古性が守る最強のラインが今年もグランプリで大暴れすることが期待される。
「原点回帰」
今回の脇本のテーマとなった言葉にはどんな意味があるのか。
自分は短期登録の選手のようなイメージ
Q:競輪祭直前の段階では、獲得賞金ランキングは8位とグランプリ出場ギリギリのラインでした。「やばいな」という気持ちはありましたか?
全然なかったですね。同じ状況で、しかも怪我明け一発目のG1という状況だった去年のほうが緊張しました。去年のことがあったからこそ、普通だったのかもしれないですね。出られなかった出られなかったで、一からやり直せば問題ない、そう思っていました。
Q:グランプリに固執していたわけではなかったですか?
出場するか否かによって僕の評価は変わらないと思うんです。むしろ、「F1の場を荒らすな」ってみんなに嫌がられるくらい(笑)。2022年にS級1班だったときは「職場を荒らすな」って言われましたからね(笑)。短期登録の選手みたいなイメージがあるのかもしれません。実際、やってることは短期の選手と変わらないかもしれないですけれど……。そういうこともあり、焦りは無かったです。もちろん、欲しいタイトルではありますから出場の希望を捨てているわけではありませんでした。
2024年、印象に残ったレース
Q:2024年で印象に残っているレースはありますか?
負けたレースですが、7月のサマーナイトフェスティバル(G2 松戸/脇本は6着)の決勝ですね。前受けして、北井くんに対して突っ張って、郡司くんのところに割り込んで番手から出て、というレース。結果は負けたけれど、良かったと感じるレースでした。
Q:どういう部分が良かったのでしょうか?
変わったことをしたというか、自分のなかで変化を出したレースでした。番手で優勝した時から、変化を求めなきゃって思い始めていたんです。結果として上手くいったわけではないけれど、納得できたレースという意味で印象に残っています。
Q:そういうレースは今までそれほど多くはないですか?
そうですね。まぁ僕が先頭で走ったなかで、印象に残ったレースという感じですね。
作戦:古性優作
Q:その戦法を続けなかった理由は?
少しやり続けてはいたんですけど、前提として“前を取る”ということが必要になってしまい、取れなかった時の対処として良くないなと思ったんです。もちろんやる時はやりますし、力勝負が必要になる時はあるけれど、割合としてそこまで高くある必要はないと思いました。古性(優作)くんが前を取れるからこそやった戦法とも言えます。
Q:前を取ってくれる人がいることで、幅が広がるということですね。
逆に言えば、古性くんがいないと取れない戦法かもしれないです。絶対に前を取ってくれるし、古性くんの番手のうまさが露骨に出るので。相手を見てどうしようもない時に、古性くんに頼るということを最近やっている感じです。
Q:頼れる人がいる、というのはいいことですよね。
はい。でも、自分が後ろにいるときも、古性くんと同じことができなきゃいけないですよね。
Q:そのあたりはどうですか?
絶望的です(笑)。横の動きはできるのですが、スタートが取れない。そもそも試行回数自体も少ないですが、瞬発力が良くないですね。
戦術の幅が大事
Q:発走機を出てから前を取るまでの間って、じつはそれほどフォーカスされてはいない部分だと思うんです。実際、古性さんが前を取れなかったとしたら、絶望します?
僕が先頭の時は絶望しないけれど、僕の前に走る選手が困りますよね。主に寺崎くんとか(笑)。前から攻めたい、と言われた時にそれができなかった時の対処が問題ですね。僕は「仕方ない」と思ってるんですけど、彼らは作戦の幅がまだ広くないですからね。
Q:他の選手が困る、というのは経験や脚への自信から来るものなのでしょうか?
それもあるし、僕に気を使ってるというのもあります。僕がイン粘りとか遅れた時に対処できるかって言われたらできないほうなので。古性くんも、それはわかったうえで対処してくれているんですけど。