KEIRINグランプリ2024を前に、ナショナルチームを卒業した選手に注目。この記事で紹介するのは新山響平選手。3年連続3回目のグランプリ出場。初めて出場した2022年は8位、昨年は6位とまだ見ぬ頂点へと臨む。
今回は単騎で走ることが予想される新山。そのレースに対する考え方は、「内容に結果が付いてくる」ということ。直近では2年ぶりにG3(泗水杯争奪戦/四日市競輪)のタイトルを獲得し、“ツッパリ先行屋”としてスタイルを確立させている新山が語る現在の心境は?
最初は不安だった「赤パン」 今では3年連続で競輪界のトップ9
Q:2022年、最初にS級S班が決まった時に「いつまで赤パン*履けるかな」と言いながら、3年連続ですね!
たまたまですよマジで(笑)。
*赤色のパンツの略称。競輪界のトップS級S班の9人のみが履くことを許される特別なレーサーパンツのこと。
Q:赤パンには慣れましたか?
慣れてないです(笑)。でも来年からレースジャージが新しくなると聞いて、それも履きたいとは思っていたのが実現したので嬉しいですね。
Q:競輪祭で賞金が固まってのGP決定。ナショナルを卒業して競輪に集中して走ってきて、安定してきたというか、常に上位にいるイメージがあります。
運が良かったというか、S級S班でいると番組にも恵まれますし、成績は安定しやすいとは思います。でも、本当にたまたまです。
久々の優勝 しかし感じる「横」の必要性
Q:11月の四日市 G3は久々の優勝でした。勝ちに行く、という点において、ラインを組んだ中野慎詞選手のような人がいると助かりますか?
確実に、優勝の確率は上がりますよ。慎詞くらい強かったら、なんなら前で頑張ってくれなくても、自分の勝つレースをしてくれるだけでも良いなと思います。ただその分、番手で勝てないとダメージは大きいです。狙われる位置にもなりますから。今年は狙われて勝てない、ということが多かったので、そこを守っていくようにしなくちゃいけないですね。
Q:ガツンと横から来られると、衝撃はやっぱり大きいですか?
衝撃は受けますけれど、案外転ばないなっていうのは最近気づいてきました。「一回転んだら転びやすくなる」と言われてますが、このくらいなら転ばない、という具合がわかってきて、横への耐性が少しついてきたかもしれないです。
Q:それはやはり、実戦でないと身につかない耐性でしょうか?
いえ、練習中にスピードをあげてバシバシやっていれば上手くなっていくと思います。
Q:では、そのような練習は?
していないです(笑)。やりたいですけれど、自分の問題になってきますからね。同じ考えの人がいれば転ぶまで一緒にやれますけど、自分の考えで人を巻き込むわけにはいかないですからね。
Q:そういえば……脇本選手が、横の動きができないって悩んでいましたよ。
脇本さんは脚があるからいいじゃないですか(笑)。圧倒的な脚力があれば、横なんて必要ないですよ。でも横できない同士で話してみようかな(笑)。とはいえ、気持ちひとつだと思いますよ。転びに行くようなイメージでやっていれば、案外いけるという感覚は掴んできました。
Q:G3(四日市)を奪ったとき、嬉しかったですか?
嬉しかったですが、慎詞の後ろで取りこぼせないという気持ちだったので、ホッとしたのと半々ですね。
Q:中野選手は体が大きいから、空気抵抗にも有利な影響が出ますか?
それは楽ですね。でも、ダッシュがすごいから休めなかったです。後ろでキツかったですね。慎詞は、あんな仕掛けじゃなければ全然逃げ切れますから。あのスピード域でタレても普通の選手は届かないです。四日市の時は寺崎(浩平)だから来ましたけれど。
でも僕が横をバシってできれば止められるスピードだったので、やっぱり番手の時は番手の仕事をしないといけない、と改めて思いました。