パリオリンピックではチームパシュートとマディソンの2種目に出場した内野艶和。
若くして大舞台を経験し、4年後も視界に見据えるなか、再び世界の舞台で戦うためには進化が必要だと語る。

世界選手権では個人種目にも出場予定。オリンピックの舞台を踏んだからこそ感じた想いととともに、次なる戦いへの意気込みを語ってもらった。

出場するだけでは、なにも残らない

Q:初めてのオリンピックの舞台はどうでしたか?

レース終わったら選手村でタダでご飯も食べれるし良かったです(笑)。
レースも楽しかったし、レース外の経験も初めてのことばかりで。オリンピックってこんなこともやってくれるんだ、って。もう1回出たいな、と思います!

Q:真面目なコメントをお願いします(笑)

はい!オリンピックまでがメンタル的に追い込まれながらの大会が多かった分、「あとはやるだけだ」と思えて楽しかったです。選手村の雰囲気も含めて楽しむことができましたが、シンプルに「悔しかった」という気持ちが大きいです。

期間中、特別な大会だということはそれほど感じなかったのですが、終わってみるとオリンピックでメダルを獲るということの大事さがわかりました。出場するだけでは何も残らない。メダルがすべての厳しい世界だな、と改めて感じました。

Q:オリンピックを終えてから、気持ちが落ちるようなことはありませんでしたか?

オリンピック後は燃え尽きたような感覚もありましたが、2週間ほどオフを取り、まったく自転車に乗らない期間を作りました。自転車競技を始めてから、それだけの期間乗らないということは初めてに近かったんです。それでしっかりとリフレッシュできました。そのおかげで、練習再開後も気持ちが追いつかない、ということはなかったですね。今は「またあの舞台に戻りたい」と感じています。

ポケモンみたいな“進化”が必要

Q:4年後に向けて、気持ちが高まりました?

ロサンゼルスに向けては、“4年間”まるまるオリンピックに向けて使える時間があるので、いろんなことに取り組みたいです。その中で気持ちが折れるようなこともたくさんあるとは思いますが、今回いろいろな経験ができたことで、そういう時にどうしたらいいのか対策が立てられます。新しいことに挑むのは不安もありますが、これからの1、2年は“なんでもしちゃおう期間”というか、ぜんぶ勉強になると思って臨むつもりです。この時期にしか、そういう経験はできないですからね。

Q:新しいことに挑まなくては世界の舞台で戦えない、と感じたということでしょうか?

はい。パリで走ってみて、もっとレベルアップしないと勝てないということを実感できました。
変化をしないと、この先に大きな壁が待っていることもわかるので、今のうちに克服しておこうと思います。

具体的には、ダニエルからも言われましたが、“自分のなかのエンジン”を大きくすること。
メダリストの走りを見て、一緒に走って勝てると思えるかどうか。そこで勝ち切れるイメージが湧かない時点で負けだと思うので、そう思えるようなエンジンを積むことを目標にしています。すべてにおいてレベルアップが必要。ポケモンでいうところの進化をしなくては、戦っていけないと思います。

試行錯誤で獲得した美しいペダリング

Q:現時点での自分の強みはどういったところですか?

なんだろうな……ダニエルからは「You are strong」としか言われないですけど……(笑)。

Q:内野選手は特にペダリングがスムーズで綺麗だな、と感じるのですが、自身では意識していません?

自分の中では、いかに楽に回せるかを考えています。上下ではなく、楕円形をイメージして回すような感じです。それが楽なのでそういう踏み方をしていますが、高校生の頃からペダリングを褒められることが多いですし、ダニエルやジェイソンからもそう言ってもらえます。自分で模索しながら身につけたものなので、褒めてもらえるのは嬉しいです。

内野艶和, 女子エリート, 3km個人パシュート, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

Q:巡航速度で走っているときにも力感がなく、無駄がなく効率が良さそうな踏み方に見えるんですよ。

自分はパワーがないので、効率よく力を伝えるということは重要になると思います。実際に、漕いでいる時のワット数を計ると、他の人と同じ距離を走っても、平均ワットが低く出ることが多いんです。バンっと踏むというよりは回すイメージに近いので、ワットが低く出ているんだと思います。そういう意味では、ペダリングの綺麗さも関係あるのかもしれないですね。エコなペダルの踏み方ができているので、省エネにつながっているというか。

大事なところで勝ちきる強さ

Q:今回の大会、世界選手権で特に楽しみな種目は何でしょう?

どの種目も楽しみです。すべての種目で1ケタ台の順位を、それもできる限り良い順位を狙いたいです。

Q:去年の世界選手権ではポイントレースで銅メダルを獲得、今年のネーションズカップでもメダルを獲得してパリオリンピックに出場。順調にキャリアを積み上げてきている印象があります。この大会が更なる飛躍へのステップにもなるのではないでしょうか?

自分としては、大事なところで勝てないイメージが強く、順調にキャリアが詰めているとは感じていません。
ネーションズカップ第2戦(香港)でも、オムニアムで銀メダルを獲ることはできましたが、勝ち切ることができなかった。梶原(悠未)さんを越えていかないといけない、ということはずっと感じていました。そういう部分も含めて、進化が必要になってくると思います。

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