2024年8月10日(日本時間11日0:00)、パリオリンピック自転車トラック競技の男子ケイリンが遂にスタートした。この日は1回戦と敗者復活戦が行われ、日本から太田海也と中野慎詞が出場し、両者共に準々決勝進出を果たした。太田と中野のレースをレポートする。

ケイリン

日本の「競輪」がルーツの種目。なお日本から出場する太田海也&中野慎詞はともに競輪選手。

トラックの6周の着順を競うレース。3周までは先頭誘導をする「ペーサー」が先頭を走り、風除けをしながら全体のスピードを上げていく。ペーサーが離脱すると、残り3周のスプリント勝負!選手それぞれの得意分野、作戦が巧妙に絡み合う種目。

1回戦

1組6人。出走は全30人。5組に分かれ、各組2着までが準々決勝へ。それ以外は敗者復活戦へと回る。

ここまでチームスプリント&スプリントの2冠のハリー・ラブレイセン(オランダ)を始め、スプリント銀メダルのマシュー・リチャードソン(オーストラリア)、銅メダルのジャック・カーリン(イギリス)など、スプリントで活躍した選手たちがスタートリストに名を連ねた。

日本からはスプリントで7位となった太田海也、そして初日のチームパシュートに出場してから力を蓄えてきた中野慎詞が出場した。

1組:太田は大荒れのレースで影響を受ける

元スプリント世界チャンピオンのマシュー・グレーツァー(オーストラリア)、東京2020スプリント銀メダルのジェフリー・ホーフラント(オランダ)、東京2020ケイリン銀メダルのアジズルハスニ・アワン(マレーシア)など強豪が揃った1回戦1組に太田が出走。

レースは本格的に始まる前から思わぬ事態が起こる。

レースがスタート後、ペーサー退避の前にアワンが位置を上げていく。これを嫌ったライアン・エラル(フランス)がアワンの進路を妨害したが、アワンは前へ。しかし、残り3周まではペーサーを追い抜いてはいけないというルールの中、ペーサー退避となる残り3周となる前に、アワンはペーサーを追い抜いてしまった。

ここでピストルが鳴りレースはストップ。アワンはルールを違反として失格の処分となり、前回大会の銀メダリストが早々と姿を消すことになった。

仕切り直して5人となったレース。太田は3番手の位置で周回を重ねていく。今度は最後方に位置していたホーフラントがポジションを上げていくと、残り3周となるペーサー退避の前に太田の前へ。この動きによる余波で太田があわや接触という事態にもなった。

幸いにもレースの行方を決める動きでもなく、残り3周でペーサーが退避する。最後尾となった太田は様子を見ながら残り2周の手前で加速していく。

しかしながら前の選手たちが外に動くため、なかなか前に進めず、最終周回では4番手からの仕掛けとなる。内にグレーツァー、外にホーフラントと走る2人を捕らえにいくが、最後は2人の内側を縫うようにしてフィニッシュ。

2着には届かず、3着で敗者復活戦へと回る結果となった。

一方で第3組に出走したのは中野慎詞。強敵はリチャードソンのみとなったレースで、ペーサー退避を前に加速していくと、残り2周で先頭へ。

最終周回では仕掛けたリチャードソンが中野をかわしていくが、中野が逃げ込み2着。中野が無事に2着で準々決勝進出を決めた。

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敗者復活戦

5人1組で4組行い、各組2着までが準々決勝へと進む敗者復活戦。もしかしたら太田の最後のレースになるかもしれないと、不安が過る中でのレースとなった。

太田は1組に出走。3番手でスタートとなった。ペーサーが退避してからの残り3周、太田は前の2人と車間を空けて様子を見る。残り2周。一気に前に出ると、そのまま先行体制へ。

先頭で駆け抜けていった太田は、そのまま2周を押し切って先着し、無事に準々決勝進出を果たした。

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選手コメント

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