2024年8月8日(日本時間9日0:00)、パリオリンピックの自転車トラック競技種目の4日目となった。この日は男子スプリントの準々決勝が行われ、日本から太田海也が出場したが、強敵が相手となった太田海也、小原佑太の2人が勝ち上がりを進めることはなく、最終成績を小原が6位、太田が7位とした。レースの詳細をレポートする。

スプリント

予選は200mFTT(助走なしの200mタイム測定)。

予選のタイムをもとに本戦(対戦ラウンド)の組み合わせが決定し、勝ち上がり戦が行われる。

本戦はトラック3周、1対1で先着を争う。どんなに強靭な選手でも3周を全部フルパワーで走ることはできないので、どのタイミングで前に出るのかの駆け引き、そして一気にハイスピードになる高速バトルが見どころの種目。

スプリントの2日目は準々決勝のみ。しかし2本先取の3本勝負なので、最大3本走ることとなる。

準々決勝 1本目

1本目。小原佑太(予選16位)が、まずは第2組に出走。対戦相手は予選2位、すぐに塗り替えられたものの世界新記録を出したマシュー・リチャードソン(オーストラリア)。

スピードに勝る相手に小原が積極的に前に出て、先行する機会を伺う展開となった。バンクの上下へ動きながらもリチャードソンに攻める時間を与えずに動いた小原は、最終周回に入ると全力で駆け抜けていく。

小原佑太, Japan, 3回戦, mens sprint, Olympic Games Paris 2024, Saint-Quentin-en-Yvelines Velodrome, August 07, 2024 in Paris, France, SWpix / Japan Cycling Federation

しかし小原の動きを冷静に見ていたリチャードソン。一気に加速すると残り半周で小原を捕らえて追い越しの先着。まずは1本目を得たのはリチャードソンとなった。

太田(予選8位)は東京2020の銅メダリスト、ジャック・カーリン(予選5位)と対戦。お互いのトップスピードはほぼ拮抗しているタイムの中で、激しい戦いが繰り広げられた。

前に太田、後ろにカーリンでスタートしたレース。太田が自分のペースで相手との距離を保ちつつ最終周回へと入っていく。最終周回を過ぎてから迫ってくるカーリンと横並びとなった太田だったが、前に出ることは許さずに、最終コーナーでは接触があったが意に介さずに先着。準決勝進出に王手をかけた。

準々決勝 2本目

追い込まれた小原の2本目。1本目同様に小原が積極的に仕掛けていく展開となった。完全に捕らえられてしまった1本目とは異なり、小原がロングスパートで勝利を狙っていく。レースはスタートから半周を過ぎると、小原が加速して仕掛けていく。

しかし、この仕掛けを小原との距離を空けずに追っていくリチャードソン。最終周回に入り一気に小原へ迫ると、残り半周で小原に並び、そして追い抜いて先着。小原は5-8位決定戦へと回る形になった。

一方で1本を得て、準決勝に大手をかけていたのは太田。今度は前からでなく、後ろから攻めていく。

最初の1周は前がカーリン、後ろが太田でレースが進む。ゆっくりと両者がお互いの隙を探るかのように進むと、2周目からは太田がスピードを上げていく。勢いよく仕掛けていく太田だったが、最終周回前の4コーナーでカーリンに並びかけてお互いに接触。

お互いが仕切り直して最終周回に入ると、カーリンが太田の行く手を阻むようにバンクの上部へと上がると、外にいた太田と再び接触。身体をぶつけ合うような形で両者が進むが、最後は横並びでフィニッシュ。僅かに前に出た太田が先着した。

 

しかし、レース後に太田とカーリンの接触が太田の走行違反として(※内部に他の選手がいるのに迫っていった)太田は降着。勝負は3本目に持ち越されることになった。

準々決勝 3本目

ここで勝てば4強へ。負ければ当日のレース中に5-8位決定戦へと回ることになる3本目。レーススタート時には太田が前、カーリンが後ろとなったが、半周を前に位置を上げていくカーリン。太田は後ろから攻めていく形となる。

残り1周半で加速して一気仕掛ける太田だが、最終周回前に再びカーリンと接触。それでも怯まない両者は最終周回で横並びとなってのデッドヒートを繰り広げる。勝負は最終ストレートに入り、カーリンが少し横に出て太田ともつれ合いながらもほぼ同時にフィニッシュ。

僅差でカーリンが先着する形で、カーリンが勝ち上がりを決めた。このレースで太田、カーリン共に警告を受ける結果となったが、判定は覆らずに、カーリンが準決勝進出。太田は小原と共に5-8位決定戦へと回る結果となった。

準々決勝リザルトPDF

5-8位決定戦

4人で先着を競う5-8位決定戦。レースは残り2周で最後尾となっていた小原が仕掛けていくが、3番手だった太田と接触する形で前に出られず。逆に太田が残り1周半から加速していくと、加速中に2番手だったタンブルに走行を妨げられるような形になるが、何とか粘って前のルディクを捕らえにいく。

残り半周でフル加速した太田は、その勢いのまま最終ストレートでルディクをかわして1着フィニッシュ。しかし準々決勝の2本目同様にルディクに接触してしまう。

フィニッシュ順は、太田、ルディク、タンブル、小原となったが、レース後の判定で太田とタンブルが降着。順位は5位にルディク、6位に小原、7位タイに太田とタンブルという結果となった。

順位 選手名 所属
5位 マテウス・ルディク RUDYK Mateusz ポーランド
6位 小原佑太 日本
7位 太田海也 日本
7位 ハーミッシュ・タンブル TURNBULL Hamish イギリス

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選手コメント

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