『2024ジャパントラックカップ』、女子マディソンで内野艶和が完全勝利を果たして優勝した。全種目で1位となった内野の活躍を中心にレポートする。

2024年5月9日(木)より伊豆ベロドロームで開催されている自転車トラック競技の国際レース『2024ジャパントラックカップ』。大会2日目は男女ともにスプリント・ケイリン・マディソン・オムニアムが実施される大会期間中最も過酷な日となった。

女子オムニアム

4つの種目の総合得点によって勝者が決まるオムニアム。オリンピック種目としても採用されている。本種目には17人の選手が出場した。

1種目目:スクラッチ

定められた距離を走り着順を競うスクラッチ。シンプルに「1着になれば勝ち」というルールであり、「バンクで行われるロードレース」と表現されることもある。

30周回、7.5kmで行われる本種目。先頭交代をしながらひと塊の集団でレースが進み、大きな動きがないまま残り10周を迎える。

残り8周を切ると、最終周回へ向けてペースが緩んでいく。ここまで棒状だった隊列がキュッとまとまり、選手たち同士が周りの出方を伺う。

池田瑞紀, IKEDA Mizuki, JPN, 女子オムニアム ポイントレース, WOMEN'S Omnium Points Race, 2024ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2024 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

池田瑞紀

残り3周、最終展開の口火を切ったのは池田瑞紀、その動きを韓国のチャン・スジが追っていく。しかし残り1周となったところで内野が加速していくと先頭へ。内野にリー・ジーウィン(香港)、垣田真穂が続いて最終ストレートに入ると、順序は変わらずフィニッシュとなった。池田は5着。

スクラッチリザルト

2種目目:テンポレース

毎周回、フィニッシュラインを1着で通過した選手だけ1ポイントを得ることができるテンポレース。さらに集団を1周追い抜いた場合(ラップした場合)は20ポイントが加算される。

岡本美咲, OKAMOTO Misaki, JPN, 女子オムニアム ポイントレース, WOMEN'S Omnium Points Race, 2024ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2024 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

岡本美咲

30周、7.5kmのレース。岡本美咲、チョウ・メンハン(Henan Bodywrap Ltwoo Cycling Team)、リャン・ボーイー(Hong Kong Sports Institute)、内野艶和、ジャン・ミンズウ(Henan Bodywrap Ltwoo Cycling Team)、プルーデンス・ファウラー(ニュージーランド)、池田瑞紀と様々な選手がポイントを獲得する中、残り13周から内野が先頭に出て、連続してポイントを獲得していく。

独走を続けた内野は最終的に14ポイントを獲得。この種目の1位を決めた。

テンポレースリザルト

3種目目:エリミネーション

2周に1回、最後尾の選手が除外(エリミネート)されるエリミネーション。初日に行われた単独種目としてのエリミネーションでは内野艶和が優勝している。

『2024ジャパントラックカップⅠ』開幕 女子エリミネーションは内野艶和が優勝

3回目の除外で水谷彩奈が、5回目の除外で岡本美咲が脱落。残った日本勢(内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀)は残り6人の時点で垣田がエリミネート。ギリギリで差したかと思ったが届かず。

残り3人。内野、池田、フアン・ティンイン(台湾)の争いとなった。早いタイミングから駆け始めたフアンを追う2人が残り半周で追い抜き、トップ争いは日本選手同士での一騎打ちに。

残り1周から、先に仕掛けたのは池田。前に出た池田を追う内野が残り半周で並びかけ、どちらが先着したかわからないほどの接戦となる。結果としては内野が先着と判断され、内野がここまでの3種目全てで1位の結果を得る。

エリミネーションリザルト

4種目目:ポイントレース

ここまでの3種目で得たポイントを持ち点として行われる最終種目。10周ごとのスプリント周回で、1着に5ポイント、2着に3ポイント、3着に2ポイント、4着に1ポイントが与えられ、ラップによる20ポイント加算も可能。

スタート時点でのポイント上位は以下のメンバー。

順位 選手名 所属 ポイント
1位 内野艶和 RKD 120
2位 池田瑞紀 RKD 106
3位 垣田真穂 RKD 104
4位 フアン・ティンイン HUANG Ting Ying TPE 98
5位 リー・ジーウィン LEE Sze Wing HKG 94

最初のポイント周回では、早いタイミングから前に出ていた岡本美咲が飛び出していく。リー・ジーウィンに捉えられるも、リー・ジーウィンに続く2着の3ポイントを獲得。序盤から果敢な動きを見せていく。

李思穎 リー・ジーウィン, LEE Sze Wing, HKG, 女子オムニアム ポイントレース, WOMEN'S Omnium Points Race, 2024ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2024 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

李思穎 リー・ジーウィン

しかし全体としてレースに大きな動きはなく、ポイント周回の直前に飛び出す選手がいるものの、程なく吸収されてまたひと塊になる、といった展開が続く。

レースの折り返地点となったタイミングでも、ポイントリーダーは開始時と変わらず内野、10ポイント差で池田が続く。

大きな動きはしないものの、順位をキープする内野。5回目のポイント周回直前には、一足先に逃げ始めたリー・ジーウィンを追走。しっかりリーの動きを封じつつ、内野はここで初めて1着の5ポイントを獲得した。

垣田真穂, KAKITA Maho, JPN, 池田瑞紀, IKEDA Mizuki, JPN, 女子オムニアム ポイントレース, WOMEN'S Omnium Points Race, 2024ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2024 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

池田瑞紀、垣田真穂

残り10周のポイント周回を目掛けて池田、垣田が逃げるが、内野が捉えて集団はまたひと塊に。内野がライバルのアタックを要所要所でつぶしていく。

残るは最終スプリント。

順位 選手名 所属 ポイント
1位 内野艶和 RKD 133
2位 池田瑞紀 RKD 113
3位 リー・ジーウィン LEE Sze Wing TPE 110
4位 垣田真穂 RKD 104
5位 フアン・ティンイン HUANG Ting Ying HKG 101

1着でフィニッシュすれば倍点の10ポイントを得られるが、暫定2位の池田が20ポイント差のため、内野の優勝はここで確定した。

水谷彩奈, MIZUTANI Ayana, JPN, 女子オムニアム ポイントレース, WOMEN'S Omnium Points Race, 2024ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2024 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

水谷彩奈

残り3周、スピードが緩んだところで水谷彩奈がアタックしていく。残り1周までは先頭だったが、最終的には後続集団に捕らえられてしまう。一方、最後にスピードを上げて1着となったのは垣田。

合計ポイントを114ポイントにまで伸ばして2位タイ(同ポイントはリー・ジーウィン)となったが、最後は着順上位によって2位を勝ち取った。3位はリー・ジーウィン(香港)。

順位 選手名 所属 ポイント
1位 内野艶和 RKD 135
2位 垣田真穂 RKD 114
3位 李思穎 リー・ジーウィン LEE Sze Wing HKG 114

リザルト

優勝 内野艶和インタビュー

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