男子オムニアムで窪木一茂が大活躍を見せて銀メダルを獲得。窪木の躍進を中心に2024ネーションズカップ第3戦 カナダ・ミルトン大会男子オムニアムのレースをお伝えする。
男子オムニアム
2024ネーションズカップ第3戦 カナダ・ミルトン大会。4月13日、大会2日目には男子オムニアムが行われた。この種目に出場したのは、窪木一茂(ナショナルチーム)と橋本英也(チームブリヂストンサイクリング/アジアチャンピオン)。
世界チャンピオンのユリ・レイタオ(ポルトガル)、2023欧州チャンピオンのイーサン・ハイター(イギリス)、ヤンウィレム・ファンシップ(オランダ)、ベンジャミン・トマ(フランス)、前日のエリミネーションで優勝したディラン・ビビック(カナダ)などの強豪を含めた23人が予選を突破し表彰台のスポットを争う。
第1種目:スクラッチ 日本のMr.スクラッチが集団スプリントを制す
序盤にユアン・アランゴ(コロンビア)が単独で集団を追いぬき、アランゴ以外の全ての選手に-1周が付いたレース。
世界チャンピオンのユリ・レイタオ(ポルトガル)が積極的にアタックしていくが、その後は集団から抜け出す選手がいないまま、レースは終盤へ。
残り3周となって集団内で位置を上げてきたのは日本のMr.スクラッチ窪木一茂。3番手から4番手をキープして残り2周へ。最終周回では地元の実力者ディラン・ビビックが先頭に上がっていくところを追っていき、最終ストレートでビビックを捕らえて1着。2着にビビック。
しかしアランゴが1周追い抜きをしていたため、この種目の順位は1位がアランゴ、2位窪木、3位ビビック、集団内でフィニッシュした橋本は11位でオムニアムの第1種目を終えた。
第2種目:テンポレース 窪木5位、橋本7位
スタートと同時にグラント・クーンツ(アメリカ)がアタックし、1周追い抜きを成功させる。中盤に橋本が2ポイントを続けて加算するとトマ・ブダ(フランス)のアタック。このアタックでブダ、窪木、レイタオが抜け出す形となったが、3人の先頭集団からレイタオが単独でアタックしていく。残り9周でメイン集団に追いついたレイタオが20ポイントを加算する。
窪木のいる集団は逃げ集団となるが、残り5周から窪木が単独で加速。最後は捕まってしまったが、5ポイントを獲得してこの種目を5位とした。橋本は序盤の2ポイントを獲得したため、全体の7位となった。1位はトマ・ブダ(フランス)、2位はレイタオ(ポルトガル)、3位はイーサン・ハイター(イギリス)。
第3種目:エリミネーション
2周に1回、集団から1人が抜け去っていくエリミネーション。序盤には橋本が内側に詰まってしまい、逃げ道がなく除外されてしまう。窪木は序盤から先頭まで上がっては位置が下がり、再度先頭まで上がっていく。体力を使いながらも力強い走りで除外を避けていく窪木はラスト3人にまで残る。
ファンシップ(オランダ)、ハイター(イギリス)、窪木となったレースは、除外周回に入りハイターと窪木が加速していくとファンシップがペダルを踏むのを諦めて除外され、最後は窪木とハイターとの一騎打ちとなる。
窪木が前、ハイターが後ろとなって迎えた最終周回。ラスト1周の鐘が鳴るとバンクの傾斜を使って後ろから加速したハイターが一気に前に出る。しかし窪木は力尽きたのか、ハイターの動きに抵抗することなくスピードを落としていき、この種目の勝者はハイターとなった。2位に窪木、3位ファンシップ、橋本は17位でこの種目を終えた。
最終種目:ポイントレース 窪木、最後まで見せ場を作っての銀メダル獲得
ここまでの暫定順位は以下の通り:
名前 | 順位 | ポイント |
窪木 ハイター |
1位タイ | 108 |
トマ | 3位 | 102 |
ビビック | 4位 | 94 |
橋本 | 10位 | 56 |
最終種目は100周。25kmのポイントレース。上記ポイントにレース中に獲得したポイントが加算され、最終的に最もポイントが多かった選手の勝ちとなる。ポイントは10周に1回のポイント周回で4着までに入り加算するか、集団を1周追い抜きして20ポイントを得ることもできる。
最初に動いたのは暫定トップタイのハイター。1回目のポイント周回で1着5ポイントを加算。一方窪木はここでは動けずに差が開いてしまう。
しかし次のポイント周回ではトップ争いの両者が競り合ってのワンツーを決め、窪木が1着、ハイターが2着と火花を散らす序盤となった。3ポイント差でハイターを追う窪木。トップ争いをする両者がお互いにマークし合うような形でレースは進んでいく。
ポイント差が縮まらないまま迎えた5回目。これはレースの折り返しとなるポイント周回。ハイターは窪木をマークしていたが、窪木が駆けだすとハイターを置いていき、3着2ポイントを獲得。ハイターはポイントを得なかったため、窪木とのポイント差は1となった。
6回目のポイント周回では、ハイターが集団の先頭で走っていたが、上位のトマと窪木で後方からスピードを上げてトマが1着、窪木が2着、ハイターが3着となり、遂に窪木はトップ争いを振り出しに戻すことに成功する。
名前 | 順位 | ポイント |
窪木 ハイター |
1位タイ | 118 |
トマ | 3位 | 114 |
ビビック | 4位 | 100 |
ここから残り20周を切るまで両者は大きな動きを見せず、窪木がハイターをマークしながらレースは終盤へ。
残り20周を切って集団から飛び出したのは上位争いを行う4人。窪木、ハイター、トマ、ビビックが逃げ集団を形成してレースを展開していく。
上位陣が全て入った逃げ集団はメイン集団との距離を見る間に詰めていき、残り10周のポイント周回のポイントを獲得。そしてメイン集団を1周追い抜きして4人が+20ポイントを得た。しかしここで問題だったのは、残り10周のポイント周回の順位。ハイターが逃げ集団内から頭一つ抜け出し1着、窪木は3着となり、両者のポイント差は再び「3」となってしまった。
残すは最後のポイント周回。ハイターは143ポイント、窪木は140ポイント。暫定3位のトマは137ポイント。
まさかの最後……
逃げ集団が1周追い抜きを果たし、集団が最終周回に向けて緩んだところで起きた大きな動き。それは暫定トップのハイターによる「残り7周手前でのアタック」だった。
ハイターは集団前方からアタックすると、単独で抜け出すことに成功する。窪木はアタックに反応はできず。ハイターは最終周回前にメイン集団に追いつき+20ポイントを獲得すると、金メダル獲得を決めてしまった。
ハイターから遅れてはしまったのの、窪木は暫定3位のトマの後輪につけてメイン集団から抜け出していく。最終周回ではトマと窪木の銀メダル争いとなったが、この勝負は窪木が競輪で培ったスプリント力を見せて大差の1着。最後に10ポイントを獲得して銀メダルを獲得した。銅メダルはトマ。
順位 | 選手名 | 所属 | ポイント | |
1位 | イーサン・ハイター | HAYTER Ethan Edward | GBR | 163 |
2位 | 窪木一茂 | JPN | 150 | |
3位 | ベンジャミン・トマ | THOMAS Benjamin | FRA | 143 |
橋本英也は13位(60ポイント)。