2024ネーションズカップ第2戦香港大会。第1戦同様に太田海也とマシュー・リチャードソンの両者が相まみえた。決勝の3本目までもつれたトップ争いは2戦連続で太田海也の勝利。今大会の自身最終種目を金メダルで終えて、ケイリン、スプリントの2冠を果たした。

男子スプリント

2024ネーションズカップ第2戦香港大会。3月17日に行われた大会最終日には男子スプリントが行われた。45人がエントリーしたこの種目、日本からは第1戦のチャンピオンとして太田海也、アジアチャンピオンとして山﨑賢人、そして小原佑太に中野慎詞の4人が出場。

ハリー・ラブレイセン, LAVREYSEN Harrie, NED, 男子スプリント 予選, MEN'S Sprint Qualification 200mFTT, 2024トラックネーションズカップ 香港, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Hong Kong

ハリー・ラブレイセン

世界からは今大会初出場種目となるハリー・ラブレイセン(オランダ)を始め、第1戦で太田海也と決勝を戦ったマシュー・リチャードソンなど世界選手権レベルのメンバーが名を揃えた。

マシュー・リチャードソン, RICHARDSON Matthew, AUS, 男子スプリント 2回戦, MEN'S Sprint 2nd Round, 2024トラックネーションズカップ 香港, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Hong Kong

マシュー・リチャードソン

この種目は予選(200mフライングタイムトライアル)⇒1回戦⇒2回戦⇒準々決勝(ここから2本先取)⇒準決勝⇒決勝の勝ち上がりとなる。1日で最大12本を走るという、ネーションズカップならではの勝ち上がれば勝ち上がるほど体力的に厳しくなるスケジュール。

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予選200mFTT

太田海也, OTA Kaiya, JPN, 男子スプリント 予選, MEN'S Sprint Qualification 200mFTT, 2024トラックネーションズカップ 香港, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Hong Kong

太田海也

予選は28人が勝ち上がるタイムトライアル。その中でもトップ4は2回戦へシードを得る。

予選200mフライングタイムトライアル結果

順位 タイム 名前
1 9.555 マシュー・リチャードソン オーストラリア
2 9.583 太田海也 楽天Kドリームス
3 9.597 ニコラス・ポール トリニダード・トバゴ
4 9.645 ハリー・ラブレイセン オランダ
12 9.805 小原佑太 日本
13 9.81 中野慎詞 楽天Kドリームス
20 9.885 山﨑賢人 日本

太田が全体の2位となりシードを得て2回戦へ。王者ハリー・ラブレイセンは本調子ではないのか、4位の結果となった。

予選結果PDF

中野 vs 山﨑 日本人同士の戦い

小原は予選21位のマキシミリアン・ドルンバッハ(ドイツ)を追い込んで先着。2回戦へと駒を進める。しかし1回戦9組では中野と山﨑、まさかの日本人対決となってしまった。

レースは中野が前、山﨑が後ろでスタート。位置を変えずに残り1周半になると、山﨑が後方から仕掛けていく。しかし山﨑の進入方向を上手く塞ぐ中野がスピードを合わせると、山﨑が外側から強引にスピードを上げていき、両者が並走する形で最終周回へ。

両者並走のまま最終コーナーへと差し掛かるところで山﨑が内側に入り込み中野と接触。2人とも外に膨らみ失速するが、先着は中野となった。この結果、中野が2回戦進出を決めた。

1回戦結果PDF

太田は快勝、中野はラブレイセンに不戦勝

2回戦。シードを得た太田はシェイ・ニエンシン(台湾)との対戦。このレースを先行して相手を寄せ付けずに準々決勝に勝ち進んだ。

小原は 予選5位のレイ・ホフマン(オーストラリア)との戦い。最初の1周は歩くようなスピードで両者が見合う形になるが、徐々に小原がバンクの上板でスピードをつけていく。

残り1周半で踏み上げていく小原に対して同じスピードでホフマンも踏み上げていき、最終周回からはスプリント勝負となった。3コーナーから外に持ち出した小原が最終ストレートでホフマンに並びかけていくが、最後は車輪半分ほどの差で届かず。ホフマンが準々決勝進出を決めた。

中野は世界王者ハリー・ラブレイセンとの対戦となったが、ラブレイセンがDNS(スタートせず)となり、準々決勝に歩みを進める形となった。

本人のSNSによると、食中毒にあって体調が優れなかったとのこと。

2回戦結果PDF

太田はストレートで勝利、中野は3本目までもつれるが……

太田 vs ジョンエンファ

準々決勝。ここからは2本先取のレースとなる。太田の相手はジャイール・ジョンエンファ(スリナム:予選10位)。

ジャイール・ジョンエンファ, TJON EN FA Jair, SUR, 男子スプリント 予選, MEN'S Sprint Qualification 200mFTT, 2024トラックネーションズカップ 香港, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Hong Kong

ジャイール・ジョンエンファ

1本目のレースは太田が後ろから攻める形となる。序盤は大きく距離を開いていた太田だが、残り1周を前に徐々に距離を詰めていくと、ジョンエンファが外に膨らんだ瞬間を逃さず内側から仕掛けていく。不意を突いた仕掛けでジョンエンファを突き放した太田が先着し、1本目を得た。

2本目は太田が前で相手に並びかけることを許さず先行して先着。ストレートで勝ち上がりを決めて準決勝進出となった。

中野 vs ホフマン

中野は小原を倒して勝ち上がってきたレイ・ホフマン(オーストラリア)とのレース。中野が後ろになって両者がゆっくりとトラックを進んでいく。

1周が経過するところで更にスピードを落としてホフマンが垂直にトラックを上がっていくと、中野が一気にダッシュして前に出ていく。大きく突き放されたホフマンが中野を追いかけるが時既に遅し。中野が逃げ切って1本を先取した。

2本目はホフマンが残り1周前に仕掛けて中野を突き放して先着。勝負は3本目へと持ち込まれる。

準決勝進出をかけた3本目。スタート直後から後方でスピードを上げていく中野に合わせてホフマンも踏み込んでいき、これまでの2本とは異なり序盤からのスピード勝負となる。残り1周半からトップギアに入れた中野が仕掛けていくと、ホフマンと並走となって最終周回へ。

粘る中野だったが、ホフマンが中野を前に出さず、残り半周で再び中野が踏み込んでいく。最終ストレートに持ち込まれた勝負となったが、最後は中野が届かず2着。ホフマンが準決勝に勝ち上がった。

準々決勝結果PDF

準決勝 vs ニコラス・ポール

2023世界選手権銀メダリストのニコラス・ポールとの対戦。まずはポールが前でレースが進む。位置関係が変わらず最終周回に入る直前、2人がスプリント体制に入る前に太田がフェイントを入れるとポールの内側が開く。

すかさずスぺースを使って前に出た太田は軽くけん制を入れてポールを外側に動かすとスプリント体制へ。一気に加速した太田にポールは追いつけず、太田が先着して1本目を得た。

2本目は前でしっかりと内側を締め、ポールが残り半周で諦める走りを見せて先着。マシュー・リチャードソンが待つ決勝への切符を手にした。

決勝 vs マシュー・リチャードソン 限界を超える戦い

決勝は第1戦同様にマシュー・リチャードソン(オーストラリア)との対戦。前回は3本目までもつれて最後に太田が勝ったものの、両者共に限界を超えて倒れ込んでしまった過去がある。今回はどうなるのか、と関係者が固唾を呑んで見守る。

1本目

1本目、太田が前でスタートしたレースはお互いの調子をうかがうかのようにゆっくりと進む。しかし1周を過ぎる前に太田が減速して止まりかけると、リチャードソンが前へと位置関係が変わる。後ろになった太田は少しずつ踏み上げていき、レーススピードを上げながら仕掛けどころを狙っていく。

残り1周を切って、リチャードソンとの距離を詰めながら太田がバンクの傾斜を使って仕掛けていくと、この攻撃を上手く進路を塞いでリチャードソンが防いで残り200mとなる。2コーナーで太田が再びバンクを駆け上がって攻めていくと、最終ストレートで相手を捕らえたように見えたが、僅差で届かず。1本目はリチャードソンが得る形となった。

2本目

2本目、緊張感からか、なるべく体力を温存したいからか、まずは歩く程度のスピードでリチャードソンが前になり、レースが進む。

残り2周を切ってペースを上げていくのは太田海也。3コーナーから仕掛けていくと、内側から攻めていくが、進路を阻まれて外へと持ち出していく。最終周回で前になったのは太田だったが、リチャードソンが残り半周で急加速していく。

最終ストレートで並走となった両者は横並びでゴールラインを駆け抜けた。肉眼ではほぼ同時だったが、写真判定の末太田が先着。勝負は第1戦同様に3本目までもつれこんだ。

2本目が終わり明暗が分かれた両者。

太田はローラーでリカバリーするが、リチャードソンは既に倒れ込み苦しむ状態。

3本目

3本目。太田が再度後ろになってスタートしたレース。残り1周半から太田が一気に加速していくと、両者の対決の最終局面を迎える。

外から太田がリチャードソンの並びかけたが、内側で粘るリチャードソン。最後はお互いがハンドルを投げる形でゴールラインに飛び込むが、先着したのは太田。

この結果、太田が2大会連続となるスプリント優勝を決めた。2位はリチャードソン。3位にはニコラス・ポールとなった。

順位 選手名 所属
1位 太田海也 RKD
2位 マシュー・リチャードソン RICHARDSON Matthew AUS
3位 ニコラス・ポール PAUL Nicholas TTO

中野慎詞は8位、小原佑太は12位、山﨑賢人は21位。

最終結果PDF

選手インタビュー

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