2024年夏に開催されるパリオリンピック。その直前期にあたる大会『2024ネーションズカップ第2戦』が、3月15日より香港で開催される。パリオリンピックの出場枠選考大会はあと1大会あるが、日本にとっては時差が少なく、衛生環境などが整っている香港は有利に挑むことができ、重要な大会だ。
香港でネーションズカップが行われるのは3年ぶり。前回行われたのは2021年5月で、1年延期となった東京オリンピックの直前の時期である。
厳戒態勢だった2021ネーションズカップ
新型コロナウイルスが世界的に猛威をふるい、多くの大会が中止となった2020年。東京オリンピックも1年延期となり、ままならない世界の中で選手たちはオリンピックに向けた準備をしてきた。
2021年5月に行われたネーションズカップ第2戦 香港大会。この直前に行われる予定だったネーションズカップ第1戦も中止となっており、この香港大会も無事行われるかどうか怪しい部分があった。
結局無事に開催された香港大会だったが「新型コロナ禍において香港で開催する国際大会自体、(すべてのスポーツの中で)このネーションズカップが初めてだった」という。香港政府、大会主催者、そして参加する選手やチームもすべて手探りの中で開催された大会だった。
マスクやPCR検査は当たり前。選手たちはホテルの部屋から会場まで直通で輸送され、食事はホテルの部屋で取り、自室を勝手に出ることは禁止。エレベーターを使う時間も決められており、それ以外の時間に使おうとすると監視しているスタッフに咎められる、という厳しさ。帰国してからも隔離期間が必要とされるなど、これまでにない厳戒態勢の中で実施された大会だった。
この大会の裏側について、チーム同行スタッフの目線で語っていただいた記事があるので、ぜひご覧いただきたい。
イレギュラーの中で最善を尽くす仕事 同行スタッフは見た!2021ネーションズカップ香港、コロナ禍の国際大会舞台裏【前編】
香港自転車連盟のレイモンド・レオン氏はこの大会を振り返り、
「私たちは多くの困難に直面しましたが、政府、スポンサー、支援団体、ボランティアの皆様の努力と支援により、なんとか『バブル』イベントを開催することができました。唯一残念だったのはスタンドから観戦し、応援ができなかったこと」
と語る。
今度は「たくさんの観客」とともに
その「2021年大会」の記憶を払拭するかのごとく、今回のネーションズカップ第2戦ではたくさんの「観客」を呼び込むための施策を行なっている。
・ベロドロームの周辺で自転車をテーマにしたゲーム、アクティビティ、展示ブースなどを出展
・イベントを紹介するための小中学校への訪問
・E-Bike競技会の開催
・大会期間中のガイド付きツアー
・視覚障害者、特別な教育が必要な学生、高齢者など社会から疎外されている人々に3300枚の無料チケットを提供
観戦チケットはオンラインまたは会場で販売されており、一番高いもので200香港ドル(日本円で約3800円)。子どもや学生、高齢者などを対象とした割引も実施される。
3年の時を経て
新型コロナウイルスの感染は決して収まったわけではなく、未だ対策が必要である。それでもその「対策方法」が見えてきて、スポーツをはじめとした様々な活動が可能となってきた、2024年。
2021年の大会ではアジアの開催ということ、そして新型コロナの影響から参加国が少なかったこともあり、日本チームは多くのメダルを獲得。東京オリンピック前に実戦経験を積んだのみならず、特殊な環境、ストレスのかかる環境での大会を乗り切るという「経験値」を積んだ。
前回の香港での大会から3年が経った。前回と同じく「オリンピック直前」の大会である。
前回と同じように良い成績を収めること。
そして前回と異なり「たくさんの観客」の前でそれが行われることを、楽しみにしたい。
大会は3月15日から17日、3日間にかけて実施される。
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