HPCJC(High Performance Center of Japan Cycling)は伊豆に拠点を置き、トラック競技強化指定選手のトレーニングセンターとして、世界選手権やオリンピックでメダルを獲得を目指してアスリートを強化、育成する組織。
……となっているが、ゆくゆくはトラック競技だけでなく、「自転車競技全体」を強化する組織になることを目指している。
今回はその「ゆくゆくは自転車競技全体へ」の活動の第一歩と言える、BMXレーシング・中井飛馬選手のリハビリ支援についてお伝えする。鎖骨骨折中(自身6回目!!)で伊豆に臨時で通うことになった中井選手本人にお話を伺った。
中井飛馬
なかい・あすま。新潟県出身、2000年生まれ。
12歳で本場アメリカの強豪チームにスカウトされ海外へ転戦を始める。2019年にエリートクラス1年目ながら全日本選手権で優勝。2021年には日本人で初めてUCIワールドカップシリーズのU23シリーズチャンピオンに輝く。
現在はフランスに拠点を置いて活動しているが、治療のために一時帰国、HPCJCでリハビリを行っている。
選手公式ページより
かつて走り回った伊豆の地で
Q:怪我のリハビリのため、現在日本に帰国していらっしゃいます。今回のリハビリは三瓶将廣さん(JCFハイパフォーマンスディレクター)から出た話だったのでしょうか?
そうです。怪我をした直後に三瓶さんと、僕のコーチであるリアムの2人が話し合って大まかなリハビリ計画を決めてくれました。朝起きてその計画書を見て、「これでオッケーです」となって、決まりました。
Q:HPCJCに来たのは初めてでしょうか?
HPCJCになってからは初めてです。でもCSC(伊豆サイクルスポーツセンター)だけで言えば12歳ごろから来ているので、慣れ親しんだ場所です。
Q:今はなきBMXコースですね?
はい。それ以外にも日本代表の合宿などでバンクを走ったことはありますし、ジムや温泉(今は廃止)も利用していました。何度も来たことのある場所ですが、HPCJCが設立してからは初めてです。
HPCJCスタッフ陣のサポート
Q:今回のリハビリでは、どのような形でHPCJCの力を借りていますか?
メインは理学療法です。井上純爾さんに触ってもらったり、機械で治療してもらったり、ジムでのトレーニングをしつつ、中山(真臣)さんにマッサージもしてもらっています。それからこれは急遽プラスされたことですが、河村(美樹)さんに栄養面のチェックもしてもらうようになりました。
Q:BMXは怪我の多い競技ですので、リハビリやそれに類することは過去にもご経験があると思います。今の環境は過去に体験したものと比べてどうですか?
凄く頼もしいですね。基本的に海外に1人で行っていたので、ケアや病院などは全部自分で手配する必要がありました。自分で探して、自分で連絡をとって。そもそもそういうことをやってくれる人が見つからないこともありますし、お金の面でも負担が大きかったです。いざ病院に行けば何時間も待つ……そういうことが当たり前でした。
HPCJCのような整った設備があることは、とても理想的です。BMXには今のところHPCJCのような体制がないため、トラックのものをお借りしている、という状況ですね。
Q:各スタッフとの関わり方、印象を聞かせてください。
井上さんにはアジア競技大会でも挨拶をさせてもらっていたので、面識はありました。手術してもらった病院と密に連絡をとってくれていて、そういったところもすごく安心できます。
ケアに関しては、診れる日はだいたい毎日診てもらえたのでとても良かったです。実際怪我の経過も順調ですし、できる範囲でのリハビリを進めながら回復できています。
Q:中山マッサーはいかがですか?
中山さんは以前、2017年の世界選手権の時にBMXチームに帯同していただきました。だから7年ぶりの再会でしたね。実は普段診てもらっているのも中山さんと同じグループの整骨院の方で……同じ流派っていうのかな?同じスタイルの方に診てもらっている、という安心感があります。自分のトレーニングパフォーマンスにとても役立ってくれているなと思います。
Q:河村栄養士はどうでしょう?栄養面での新しい発見などはありましたか?
大学在学中に栄養士の方についていただいた経験があります。でも顔を合わせる機会が少なくて、僕もマメな方ではないから……(笑)
その点、河村さんは頻繁にHPCJCにいるので、顔を合わせるたびに「最近どう?」と話をすることができます。今日もInBodyで測定して「これが伸びてこれが落ちているから、良い傾向だね」とか「これが足りてなさそうだからこういうのを食べてみて」とかアドバイスしてもらいました。食べ物に関しても具体的な商品名を挙げてくれるのでわかりやすいですね。ジムの数字以外で測れるものがあるのは、非常にありがたいです。