太田海也。2022年にはプロ競輪選手デビュー、2023年はネーションズカップや世界選手権に初めて出場し成績を残したほか、日本の競輪でも今年11月の競輪祭では決勝まで進出し競輪界にも自身を強く印象付けた。

パリオリンピックが迫りつつある2023年12月、合宿中の沖縄にてインタビューを実施。年末に行われるヤンググランプリに向け、自身の成長や、根底にある「おかわり精神」を語っていただいた。

プロフィール

1999年生まれ、岡山121期。自転車未経験から日本ナショナルチームに加入し、わずか2年で世界の舞台でメダルを獲得するようになる。

2023年3月には自身初出場のネーションズカップ第1戦でスプリント銀メダルを獲得、続く第2戦ではケイリン・スプリント・チームスプリントの3種目で銅メダルを獲得

競輪の舞台では2023年よりG1レースデビュー。11月の競輪祭(G1)では決勝戦まで進出した。

「ダッシュした力を持続させる」能力

Q:ヤンググランプリ出場が決まりました。ここまで振り返っていかがですか?

競輪選手として、ここまで来るのは簡単ではなかったなと感じています。(ここまでの道のりについては)自分では実感がないですが、運が良かったとは感じます。

Q:競技でも競輪でも「前の方を走る、勝てる位置にいる」スタイルかなと感じます。

太田海也, 最終日8R, 寬仁親王牌, 弥彦競輪場

最初の頃と比べ、出てからのスピードの感じ方などがわかってきたなと思います。「このペースなら、ここまでいける」「このペースだとオーバーペースだな」という感じで、風を切ることに慣れてきたなと思いますね。

それは競技でも競輪でも意外に近い感覚です。ギアや自転車が大きく違いますが、同じ体だからなのか、すごくリンクした感じがあります。

Q:競技の大ギアで相手の踏めない距離から行く……というやり方が強いのかなと思う一方で、競輪でもかなり長い距離を踏みますよね。どちらの方が走りやすいですか?

この2年くらい競技と競輪をやってきて、僕の一番の長所はダッシュと持久力……純粋な持久力とは少し違うかもしれませんが、ダッシュした力を持続させることが得意なのかな、と思っています。加えてこの2つを、他の人ならどちらかに全振りしているところを、いい具合に80%・80%くらいで持ってるところが強みなのかなと思います。

オールスターで学んだことを競輪祭で

Q:2023年で印象的なレースはありましたか?

競輪だとオールスターの準決勝。清水裕友さんがついてくれて、僕が前で走ったレースです。残り1周の一番良いタイミングで主導権を握れたのに、すかさず吉田拓矢さんが来てしまってうまく合わせられなくて……この時勉強をしたことを活かしたのが競輪祭の準決勝です。

同じような展開で進んで自分の番が回ってきた時、後ろに強い選手がいることは分かっていたので「あ、これはあの時と同じ展開だ、同じ失敗はしちゃだめだ」と思いました。そこで裕友さんに教えてもらったようにペースをうまく上げていき、1着で決勝に進出することができました。

オールスターで失敗したからこそ競輪祭では成功できたなと思います。失敗を元にレースを組み立てられたなと、すごく印象に残っています。

太田海也, 男子チームスプリント, Men's Team Sprint, 19th Asian Games, Hangzhou, China

アジア大会、個人種目ではスプリントで金メダルを獲得

競技に関しては、印象的なレースがいっぱいありすぎます。「これ」と挙げるのは難しいかも。

Q:めちゃめちゃ走りましたもんね。

めちゃめちゃ走りましたね。ジャパントラックカップもそうですし、ネーションズカップの世界選手権も。

でもひとつ言えるのは、世界選手権の時の自分よりジャパントラックカップの時の自分の方が成長できているということ。2023年の1シーズンを経てレベルアップできており、自分の中にはこれからのプランもできています。

ボートにあった「おかわり精神」

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