2023年9月29日、中国の杭州で2022アジア競技大会のトラック競技最終日に男子ケイリンが実施された。この種目に出場したのはアジア各国の18人の精鋭たち。

日本からは優勝候補筆頭として、2023世界選手権銅メダルの中野慎詞、今季ネーションズカップ第2戦で銅メダルを獲得した太田海也が出場。国際大会で結果を残す日本勢にアジアの選手たちが挑む構図となった。

レースは1回戦⇒(敗者復活戦)⇒準決勝(3着上がり)⇒決勝の順に行われる。

1回戦

1回戦は3組に分かれて、各組2着が準決勝へ。

1組目には中野慎詞が出場。ペーサーが退避する残り3周の時点では5番手となる。残り2周の時点で更に位置を落として最後尾となった中野だが、残り1周を前にして外から駆けあがっていくと、一気に全員を追い越して大差の勝利。世界3位の実力を見せて1着で勝ち上がりを決めた。

2組目の出走となった太田海也。隊列の2番手で周回を重ねていき、残り2周へと入る。先頭との車間を切りながら、太田が後続の動きを見つつ、自ら仕掛けて先頭へ。一気に上がったレースは一列棒状になって最終周回へ。先頭で駆けていく太田に追いつく選手は存在せず、1番にフィニッシュラインに辿り着いたのは太田。中野と太田、2人ともが1着で快勝し、準決勝進出を決めた。

1回戦結果PDF

準決勝 再び快勝の中野 太田は不運のレース

準決勝は中野が第1組、太田が第2組に分かれてのレース。

第1組のレースは残り3周を切って前方に3人。距離を置いて後方に3人と2つの集団に分かれる珍しい形となる。中野は後方集団に位置すると、前の3人が先頭争いをする中、残り2周でアンドレイ・チュガイ(カザフスタン)と一緒に位置を上げていく。中野は最終周回に入り先頭に出ると、1回戦同様に他の選手たちを置き去りにして1着。決勝進出となった。

第2組には太田。5番手でスタートし、残り2周となると太田が仕掛けていく。他の選手たちとタイミングが重なる形でなかなか前に出れない太田だが、最終周回に入ると3番手へと位置を上げていく。3コーナーを回り、最終コーナーに向かうところで更に前に出ていくが、内側を走る香港の選手が太田にもつれる形で両者が外に膨らみ失速してしまう。体制を立て直して再び踏み直した太田だったが、最後は勝ち上がりの3着に間に合わなかった。太田はこのレースで5着となり、7-12位決定戦へ。

準決勝結果PDF

決勝 まさかの奇策

決勝のメンバーは以下の通り:

中野慎詞
ムハマド シャー・シャローム(マレーシア)
カン・セオジュン(韓国)
チョウ・ユー(中国)
リュウ・シ(中国)
アンドレイ・チュゲイ(カザフスタン)

レースの並びは、チョウ・ユー、チュゲイ、リュウ・シ、カン、中野、シャロームの順。レースは残り3周前に、先頭のチョウがスピードを落として全体のペースが一気に落ちる。

全体をスピードダウンさせたところで、今度はチョウがフル加速して勝負に出る。一気に全員を突き放して、残り2周の逃げ切り勝負に出る展開。

大きなリードを奪ったチョウが逃げる中、後続が追っていく。しかし差が詰まらずに最終周回へ。

中野も位置を上げようと試みるが、集団の中で位置争いがあり前に出れない。レースはチョウが大差の逃げ切り優勝を果たす結果となった。2着にカン、3着にシャローム。中野は外から仕掛けたが4着。

優勝は意表を突いたレースで勝利を得たチョウ・ユ(中国)となった。

7-12位決定戦は太田が3番手から一気に加速し、逃げ切りの1着。太田は最終成績を7位とした。

順位 選手名 チーム
1位 チョウ・ユー ZHOU Yu 中国
2位 カン・セオジュン KANG Seojun 韓国
3位 ムハマド シャー・シャローム SAHROM Muhammad Shah Firdaus マレーシア
4位 中野慎詞 日本
7位 太田海也 日本

最終結果PDF

中野慎詞コメント

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