2023年8月6日、世界選手権グラスゴー大会。混沌のレースの中、今村駿介が日本史上初となる世界選手権男子オムニアムで銅メダルを獲得し、パリオリンピックでの同種目の出場についてアピールすることに成功した。
この記事では歴史を作った今村駿介のレースをお伝えする。
オムニアムは1日で4種目を行い、種目ごとの結果によって得られるポイントの総合ポイントで順位が競われる。この種目に日本から今村駿介が出場。計24人で世界のトップを競う。
スクラッチ 最後の集団スプリントで8位
スクラッチは40周10kmで争われ、最も速く走り終えた選手の勝ちとなる。
レースは終盤に単独で抜け出したルリ・レイタオ(ポルトガル)が1着。その他の選手は集団スプリントでの着順争いとなり、オリバー・ウッド(イギリス)が集団内では最も速くフィニッシュラインを駆け抜けた。
今村は残り2周で集団の先頭に出るものの、最後は内側に包まれる形となり、8位でフィニッシュした。
中盤で見せ場を作った今村が3位
テンポレースでは、序盤に飛び出して集団を追い抜いたレイタオが1位。中盤では、レイタオを追いかけて飛び出した今村が単独でポイントを量産して8ポイントを獲得。
今村の逃げに終盤に加わったセバスチャン・モラ(スペイン)も同じく8ポイントを獲得。レイタオが1位、フィニッシュ時の着順でモラが2位、今村が3位となった。
密集内をくぐり抜けるも11位
2周に1人、最後尾の選手がレースから降ろされていくエリミネーション。今村は前、中段、後方と様々な位置で除外されることを避けてレースを運ぶ展開となる。
迎えた残り11人での除外周回。今村は集団の最も内側、その中段で位置していたため安全圏かと思われたが、周りの選手が外から加速したことでホームストレートでは徐々に最後尾へと位置が下がっていってしまう。
行き場を無くした今村は最後尾となって除外され、この種目を11位とした。最後まで残ったのはキャンベル・スチュワート(ニュージーランド)。
最終種目でポイントを量産 日本史上初の男子オムニアム銅メダルを獲得
10周に1回、着順に応じたポイントが得られ、更に集団を追い抜くと20ポイントが獲得できるポイントレース。オムニアムはこれまでの総合ポイントに最終種目で得たポイントを加算していき、総合成績を競う。レースは100周、25kmで実施された。
3種目を終えての暫定トップはレイタオ(118ポイント)、ディラン・ビビック(カナダ:94ポイント)、ヴィンセント・ホペザック(オランダ:92ポイント)の順。今村は暫定8位(82ポイント)でのレーススタートとなった。
レースはスタートからすぐにアタックが決まり、逃げ集団とメイン集団に分かれる。逃げ集団は今村、イタリア、ベルギー、イギリスなど強力なメンバーを含む10人程度となり、メイン集団との距離を大きく開けていく。
ラップだらけのカオス
残り80周を前に、逃げ集団にいた選手たちはメイン集団に追いついた(ラップした)。これによって20ポイントを早々と加算することに成功。残り80周となるポイント周回は今村が2着3ポイントを獲得。そして更にアタックが行われ、今村を含む逃げ集団が形成される。
この逃げ集団が残り70周となる周回で、再度メイン集団に追いつき、再び今村が20ポイントを獲得。序盤のレースで今村は40ポイント以上を獲得し、暫定順位を上げていく。
再び大きな動きがあったのは折り返し地点となる残り50周。有力選手たちが加速し、再度逃げ集団を形成。ここでも今村は逃げ集団に入ることに成功する。10周ほど周回を重ねて、メイン集団に追いつき、更に20ポイントを獲得。そして終盤に更に20ポイントを加え、ラップだけで合計80ポイント獲得を果たす。
大きくポイントを加算したのは今村だけではない。ベンジャミン・トマ(フランス)やニクラス・ラースン(デンマーク)なども80ポイント以上を獲得。
最後のポイント周回を前に173ポイントと暫定3位となった今村。残ったレースで逆転を許さず、レースを終了した。これにより、男子オムニアムで日本人史上初の世界選手権で表彰台に上がる結果を得た。
優勝はレイタオで187ポイント、2位にベンジャミン・トマで185ポイント、3位に今村:173ポイントという最終結果となった。
選手名 | チーム | ||
1位 | ユリ・レイタオ | LEITAO Iuri | ポルトガル |
2位 | ベンジャミン・トマ | THOMAS Benjamin | フランス |
3位 | 今村駿介 | 日本 |