佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)が日本記録を更新し優勝。今大会3冠となる強さを見せた。男子は元ナショナルチームの市田龍生都(中央大学)が初の日本タイトルを手にした。
『2023全日本選手権トラック』の最終日となる5月15日、男女のTT(タイムトライアル)種目が実施された。男子は1km、女子は500m。「自分との戦い」に挑んだ選手たちの苦悶の表情と、結果をお届けする。
500m/1kmTT
男子は1kmTT、女子は500mTTで行われるタイムトライアル(タイム計測)種目。世界選手権では最初に予選が実施され、上位8選手が決勝に進出する。ただでさえキツい種目だが、それを2回走るスタミナも要求される。今大会は1発決勝となった。
日本記録 | 世界記録 | |
500mTT | 34秒882(前田佳代乃/2013年) | 32秒268(ジェシカ・サラザール バレス/2016年) |
1kmTT | 59秒796(小原佑太/2022年) | 56秒303(フランソワ・ペルビス/2013年) |
女子500mTT
女子500mTTには10人が出走。10年間破られていない日本記録、34秒882(前田佳代乃/2013年)を破れるかに焦点が当てられた。
会場を沸かせたのは3番目に出走した酒井亜樹(HPCJC)。元BMXレーシング日本チャンピオンは、スタートで飛び出すと、フィニッシュタイムを34秒708として10年前の記録を塗り替えることに成功した。
その後は久米詩、梅川風子など実力のある選手たちが酒井の記録に挑むが、タイムを上回ることが出来ず。迎えた最終走者はここまで大会2冠、無敵の佐藤水菜となった。
佐藤の記録に期待が高まる会場の雰囲気の中、スタートした佐藤。最初の1周を19秒999(+440)で走ったため、酒井の優勝は濃厚かと思われた。
しかし!
2周目で更に加速した佐藤がフィニッシュラインを駆け抜けると、タイムは34秒467。
酒井のタイムを更にコンマ3秒更新して、日本新記録を樹立し日本タイトルを獲得した。
順位 | 選手名 | チーム | タイム |
1位 | 佐藤水菜 | Team Rakuten K Dreams | 34.467 ※日本新 |
2位 | 酒井亜樹 | HPCJC | 34.708 ※日本新 |
3位 | 梅川風子 | Team Rakuten K Dreams | 35.172 |
優勝:佐藤水菜選手インタビュー
※佐藤へのインタビューだったが、自身のインタビューを終えたばかりの北岡マリア(ジュニアの短距離3種目すべてで優勝)を佐藤が引っ張ってきて、なぜか2人並んでのインタビューとなった
Q:隣にはジュニアのチャンピオン。またBMXライダーの酒井選手も加入し、ライバルが増えましたね。
佐藤:マリアちゃんが連日良い走りを見せてくれてたので、ここは私が魅せるところだなと思って。スタートがあまり得意じゃないんですが「見せてやろう」と思って挑みました。
500mTTのチャンピオンになれるのは今年でラストだと本気で思っています。下の子が伸びてきていて、本当に良いタイムを出すし、走り方も上手。新スターが誕生するのが見えてるので、早く追い抜いてもらいたいですね。
Q:北岡選手、いかがでしょう?
北岡:佐藤選手は強くて憧れの選手。嬉しいです。
佐藤:いいよ、メディアの前だからって(笑)