『2023 UCIトラックネーションズカップ第1戦・ジャカルタ大会』、初出場の太田海也が男子スプリントで銀メダルを獲得した。歴史に残るであろう一戦を太田のレースをメインにお伝えする。
『2023 UCIトラックネーションズカップ第1戦・ジャカルタ大会』は2023年2月23日から26日で開催された。大会最終日には男子スプリントが実施。エントリーは総勢48人。世界チャンピオンのハリー・ラブレイセン(オランダ)、世界2位のマシュー・リチャードソン(オーストラリア)など強豪が揃った。
日本からは太田海也(初出場)と中野慎詞がナショナルチーム、山﨑賢人と寺崎浩平がチーム楽天Kドリームスとして出場した。
圧倒的なスピードのラブレイセン、日本の最速は太田
予選は200mのフライングタイムトライアル。上位28人が予選突破となる。
トップはラブレイセンで9秒385。
以下日本勢を含めた結果:
強敵と当たった寺崎、山﨑が勝ち上がれず
1回戦では寺崎がアジズルハスニ・アワン(マレーシア)と、山﨑が世界選手権銀メダリストのマシュー・リチャードソン(オーストラリア)と対戦し、勝ち上がることができず。
太田と中野はタイム差を活かして勝ち上がりを決めた。
対世界チャンピオンの中野、太田は大差の勝利
2回戦1組では中野慎詞と世界チャンピオンのハリー・ラブレイセン(オランダ)との戦い。レースは中野が仕掛けようとするが、ラブレイセンが進路を塞ぎ、スピードを合わせるといった形で前に出ることができない。
最終周回では傾斜を使ってフルスピードで走るが、それでもラブレイセンが前を許さず。先着はラブレイセンとなった。
5組には太田海也がケビン・キンテロ(コロンビア:予選22位)と対戦。最終周回を前に後方からスピードを上げ、一気にキンテロを抜いた太田が大差で勝利し準々決勝進出を決めた。
準々決勝 vs ジェフリー・ホーフラント(オランダ)
ここからは2本先取で勝ち上がりとなる。対戦相手のホーフラントは現1kmタイムトライアルの世界チャンピオンであり、スプリントはハリー・ラブレイセンとの頂上決戦を何度も行ってきている世界トップのスプリンター。
1本目のレースは太田が前となってスタート。太田との距離を2車身ほど開けてホーフラントが追っていく展開。残り1周半から太田が加速していくと、勝負は最終周回へ。
1コーナーに入る前に傾斜を活かして更に加速した太田が先行体制へと入ると、外からはホーフラントが並びかける。最終ストレートでほぼ横並びとなった両者だが、僅かに太田が先着し、1本目を得た。
2本目。前にホーフラント、後ろに太田となってのレース。2人はにらみ合ってゆっくりと1周を進む(1分ほど)。残り2周をきって、2コーナー辺りから仕掛けたのは太田。
一気に前に出るとホーフラントを大きく突き放す。レースはホーフラントが諦める形で終わり、太田が大差での勝利を収める。自身初出場となったネーションズカップで世界選手権メダル常連のジェフリー・ホーフラントを倒し、ベスト4進出を決めた。
準決勝 vs ミカイル・ヤコフレフ
対戦相手は予選2位のミカイル・ヤコフレフ(イスラエル)。元々ロシアの選手として出場していたが、世界情勢の事情により、競技に出場するためにイスラエルの国を背負っている背景を持つ。
1本目、太田は前、ヤコフレフが後ろでスタートしたレース。最終周回までトップスピードは出さずに、1コーナーから傾斜を使ってスピードを上げていく太田。
残り半周でヤコフレフが並びかけてくるが、内側で粘りを見せて、勝負は最終ストレートへ。両者が同時に飛び込んだように見えた勝負は車輪1個の差で太田が先着。
2本目。1本目から僅か15分後に実施されたレースはヤコフレフが前になってレースが開始される。
残り1周半を切ったところで、後ろの太田が全開で踏み込む。この時点でヤコフレフが勝負を諦めて失速。大差の勝利を収め、太田が決勝の舞台への切符を勝ち獲った。