決勝 vs不動の世界チャンピオン ハリー・ラブレイセン
決勝は2019年から今まで4年間スプリントの世界王者として君臨しているハリー・ラブレイセン(オランダ)が相手となった。
1本目は太田が前、ラブレイセンが後ろとなってスタート。決勝の舞台に相応しい観客の応援を受け、2人がゆっくりと進んでいく。残り2周となると後ろのラブレイセンが上下に動いて揺さぶりをかけながら、2人の距離が縮まっていく。
世界チャンピオンからのプレッシャーを受けてか、太田が内側に降りて加速すると、最終周回前にラブレイセンは大きくトラックの上部へ上がり、傾斜を利用して仕掛けてくる。この動きを見た太田もすぐさまバンクの上部へ上がり、最終スプリント体制へ。
お互いがバンクの傾斜を利用し、トップスピードへと加速していくが、3コーナーを前に並びかけたのはラブレイセン。そのまま太田を抜くかと思ったが、3コーナーを抜けて太田がバランスを崩して外に振れると、煽りを受けて失速。しかし諦めない両者はフィニッシュラインへと再度踏み出し、僅差となったがラブレイセンが太田を下す1本目となった。
2本目はラブレイセンが前、太田が後ろとなってスタート。
太田がバンクの上部、ラブレイセンがバンクの真ん中あたりでお互いが様子を見ながらレースは進む。ここからどんな展開で太田が攻めていくのかと思った残り2周を切っての2コーナー。
太田が一気に踏み出してフル加速していくと、ラブレイセンとの位置が入れ替わる。意表を突かれたのか、立ち上がりが遅くなったラブレイセン。前に出た太田はフル加速で先行体制に入り逃げていくが、ラブレイセンが猛烈な追い上げを見せる。
3コーナーで太田に並んだラブレイセンは、最終ストレートでは自転車1個ほどの差をつけて逆転。太田海也をストレートで下し、最強スプリンターの座を守ることに成功した。
太田海也選手インタビュー
Q:今の気持ちはどうですか?
昨年の世界選手権でラブレイセンに負けた後に「背中が見えた」とコメントした時に、多くの人に笑われました。今回は目の前にいると証明できたので、もっともっと精度を高めて、追い越せるように頑張っていきたいと思います。
Q:敗れはしましたが、銀メダルです。どうでしょう?
自分がこのスプリントという種目でメダルを獲れると思っていなかったですし、まだ実感もありません。ただ、予選から真剣に一本一本やった結果が繋がったと思います。
Q:出場前に思ったことは?
出場するのもどうしようかと思うほど不安でした。ただ、今まで練習してきたことを思い出し、どんな結果になっても良いので、練習の発表会だと思って1本ずつ走ってみました。
Q:準々決勝、対ホーフラント戦辺りからスイッチが入ったかのようでした。
自分自身もホーフラントに勝ちたいと思っていましたし、勝ったレースが経験として自分の力になっていると思っています。でも今までジェイソン(・ニブレット)コーチと一緒にやってきたことを出せただけなので、もっとどうやって勝てるかジェイソンに聞いて、強くなりたいと思います。
Q:ラブレイセンとの対戦はいかがでしたか?
結果としてはストレートで負けてしまいましたが、「絶対に1本だけは獲る」という想いで挑みました。結果が出なかったことはありますが、自分の今の力は出し切れたので、対戦出来て良かったです。しっかり成長をして、トップクラスの選手たちと肩を並べたいです。
Q:次への意気込みをお願いします。
約3週間後にエジプトの第2戦があるので、身体的な部分もありますが、戦術面を詰めて、しっかり練習して臨みたいと思います。