『UCIトラックネーションズカップ第1戦(ジャカルタ大会)』の大会2日目。東京オリンピック後に息を潜めていた橋本英也が実力を発揮し、男子エリミネーションで優勝を果たした。
同レースに出場した窪木一茂も好パフォーマンスで4位となり、日本チームの存在を世界に改めて示す結果となった。女子エリミネーションは、エリート個人種目初出場の高校生・垣田真穂が8位、内野艶和が9位の結果を残した。
UCIトラックネーションズカップ第1戦
インドネシアの首都、ジャカルタで2023年2月23日から26日まで行われている『UCIトラックネーションズカップ第1戦』。24日には男女のエリミネーションが実施された。
日本からは東京2020オリンピック・オムニアムに出場した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)、2022世界選手権・スクラッチで銀メダルを獲得した窪木一茂。
女子種目に2019ジュニア世界選手権・ポイントレース金メダルの内野艶和、そして期待の高校生ルーキー垣田真穂(チーム楽天Kドリームス)が出場した。
【ルール】
2周ごとに最後尾の選手が1人除外(エリミネート)され、最後は1対1の勝負で決着。
男子:窪木・橋本が存在感を発揮
男子エリミネーションには各国から24人の選手が出場。各国から強豪たち、ヨエリ・ハビック(オランダ)、トマ・ブダ(フランス)、テオ・レインハート(ドイツ)などが揃ったレースとなった。
スタートの号砲が打たれると同時に選手たちがダッシュで駆け抜けていく高速レース。まず、橋本と窪木は後方に位置取るが、レースが進んでいくと徐々に集団の前方に位置するようになる。
窪木が先頭の時もあれば、橋本が先頭になることもあるが、日本人の2人がレースをコントロールするかのような展開になっていく。
窪木と橋本が順調に周回を重ねていき、集団は最後の5人となる。
残ったのは橋本、窪木に加えてジュールス・ヘスタース(ベルギー)、ヨエリ・ハビック(オランダ)、トマ・ブダ(フランス)。
レースでは、まずはハイスピードでの勝負で遅れたブダが除外され残るは4人。窪木と橋本のどちらが除外されても日本人が表彰台に上がることが確実となった。
レースは除外周回でハビックが仕掛けると、ヘスタース、橋本と続くが、窪木はついていけずに除外されてしまう。
エンターテイナー橋本の復活劇
残った3人のレースはハビック、ヘスタース、橋本の順。除外周回に入る前に橋本が外から内へと加速していくと、同時にヘスタースが前に出る。
イン側に橋本が攻め、反応が遅れたハビックが慌てて走路を塞ぎにいくと、橋本がハビックと接触したかのような形だが、ハビックを置き去りにして、ヘスタースとの一騎打ちに持ち込むことに成功。
へエスタースとの一騎打ちとなった最後の除外周回では、後方にいた橋本がバンク上部から一気に加速し”競輪選手”としての見事なスピードでヘスタースを突き放す。
フィニッシュラインを駆け抜ける際には会場への勝利のパフォーマンスを披露し、『エンターテイナー橋本英也』の復活を世界に知らせる狼煙を上げる結果となった。
最終成績は以下の通り:
優勝:橋本英也(チームブリヂストンサイクリング・日本)
2位:ジュールス・ヘスタース(ベルギー)
3位:ヨエリ・ハビック(オランダ)
4位:窪木一茂(日本)
レースダイジェスト動画
橋本英也選手 インタビュー
Q:エリミネーション優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。純粋に嬉しいです。今回のエリミネーションではチームパシュートの悔しさが大きなバネとなりました。エネルギーを持って、絶対勝ちたいなと思って挑みました。
エリミネーションはオリンピック種目ではないんですが、オムニアムやそのほかの種目に向けて、良いスタートが切れたんじゃないかと思います。
Q:序盤は少し様子見をしているようでしたね。でも中盤〜後半にかけては積極的に前に出ていました。
はい、そういう作戦でした。アタックが一番のディフェンスだと思っているので、後半からはどんどん前に出て行って、脚を使ってでも生き残るレースをしました。それが今回の一番の勝因だと思います。
Q:勝った瞬間、いかがでしたか?
すごく嬉しかったです!走る前から勝った時のポーズはこうしよう(ピースサイン)と決めていたので、無事にできてよかったです。
本当にチームはじめ、たくさんの皆さんのおかげで優勝することができました。ありがとうございました。少しでもパリオリンピック出場のための枠を増やしていき、日本チームとして最大限のメダル獲得を目指し、旅をしようと思っています。