怪我の功名?新たな新田祐大が恐ろしい
Q:では未来の話、グランプリの話を聞かせて下さい。グランプリ、あと1つを獲ればビッグタイトルはコンプリートです。
そういうことになりますね。11月に肩の手術を受けたので、どこまでコンディションを上げていけるかだと思います。でも、やるからには勝ちにいきますよ。
そういえば、少し心境というか、考え方が変わったことがありました。
これまでは体力的に自信もありましたし、自分のコンディションのことしか考えていませんでした。先日、他の取材で「誰に注意しますか?」と聞かれた時に、怪我もあってコンディションが不安なこともあり「今回は全員が敵だ」と思いました。
自分のコンディションや、本番の時に自分が勝つためにどうすれば良いか、今回はいろいろと考えますね。今まではあまり考えなかったので、考え方が変わったかもしれません。
Q:いろいろと考える新田選手の方が怖いような気もします……グランプリ出場は今回が7回目。もちろん獲ったら嬉しいですよね?
たぶん嬉しいと思います。
Q:全部獲ったら、ご自身の心情はどうなると思いますか?
あんまり考えていないです。
Q:何歳くらいまでやりますか?
まだ決めていないです。
MAX100のうち50で勝負
Q:まあシンプルな答えの連続!では少し長めの答えをいただきましょう。最近の新田選手の走りの印象なのですが、かなりスカスカしているように感じます。競輪ではギアが軽すぎませんか?
はい、軽すぎます。今までの世界を目指す練習があったからこそ感じることですが、世界一を目指せる強靭な肉体、高いパフォーマンスを出すために鍛えた成果が発揮できていない状態です。
Q:新田選手のMAXが100だとしたら、現在の競輪のルールの中でどれくらい出せているのでしょう?
50くらいですかね。競技とフレームが違うということもありますが、競輪のギアの話だけに絞ると、オリンピックで使ったギアとは全然違いますし、トップスピードは出ない。回転数もかなり上がってしまいます。
例えるならば、FIのエンジンを搭載した軽自動車のボディーというところでしょうか。
エンジンの出力を支えられないし、活かせないボディー(機材)を使っている、そういった感じです。
Q:新田選手の脚力に合っていないということですね。それはレッグプレスを800kg上げられる新田選手だからこそ起こっていることでしょうか?
うーーーーん………。僕だけでなく、今のルールに最適化した“自分”を見つけられていない選手は他にもいると思いますよ。合わせるということも必要なのだと思います。
Q:新田選手は“合わせ”にいくのでしょうか?
ルールは変わらないでしょうし、合わせていくしかないです。でもなかなか難しいとも思っています。
オリンピックを目指していた頃は、世界で活躍するために「“競輪”と“KEIRIN”の二足の草鞋」とよく言われていました。でも僕はその表現が正しくないと思っていました。“競輪”も“KEIRIN”も同じことなのに、「二足の草鞋」と何故別物として考えるのかと。
ただ、実際に今の状態を考えると、確かに別物だなとは感じてしまいます。