UCIポイントは獲得できる?
『UCIトラックチャンピオンズリーグ』で獲得できるUCIポイントは少し複雑。
本大会では、「各ラウンド・種目での順位に応じたUCIポイント」と「全5ラウンドの総合順位に応じたUCIポイント」の2種類が、選手たちに与えられる。
各ラウンド・種目での順位に応じたUCIポイント
『UCIトラックチャンピオンズリーグ』で獲得できる2種類のポイントのうち、わかりやすい方がこちら。
先述の通り、本大会の全5ラウンドで実施されるのは特定の4種目のみ。
各ラウンド・各種目にて毎回個別に順位を決定していく。それぞれの順位に応じたUCIポイントが、その種目の「UCI個人ランキング」のポイントに加算されていく。
そしてこのUCIポイントは以下のように、クラス2の大会で獲得できるポイントと同等に設定されている。
順位 | UCIポイント |
1位 | 100 |
2位 | 90 |
3位 | 80 |
4位 | 75 |
5位 | 70 |
18位 | 22 |
参照:UCI Regulations TRACK RACES 3.3.010 P.61(Class 2)
仮に『UCIトラックチャンピオンズリーグ』全5ラウンドのうち、スプリントにて「1位×2回・2位×2回・3位×1回」という結果を残した場合、460ポイントが自身のスプリントにおける「UCI個人ランキング」に加算されていく仕組み。
本大会の各種目への出場者数は18人。つまり各種目で、最低でも110ポイントが獲得できることになる。
全5ラウンドの総合順位に応じたUCIポイント
少しややこしいのがこの「総合順位に応じたUCIポイント」。
総合順位とは、全5ラウンドの成績を合計して算出されるランキングだが、各種目ごとではなく、短距離・中長距離という枠組みで算出されるところが”ややこしい点その1“。
短距離であれば、全5ラウンドにおけるスプリント・ケイリンの2種目の成績を合計しランキングを作成していく。中長距離ではスクラッチ・エリミネーションの2種目の合計だ。
そして総合順位に応じて各選手に与えられたポイントが、それぞれさらに等分されていくところが”ややこしい点その2“。
まず総合順位に応じて各選手に与えられるポイントを「総合ポイント(仮)」とすると、その配点は以下の通り。
総合順位 | 総合ポイント | 短距離 | 中長距離 |
1位 | 900 | 900÷2=450 | 900÷4=225 |
2位 | 800 | 800÷2=400 | 800÷4=200 |
3位 | 750 | 750÷2=375 | 750÷4=187.5 |
4位 | 700 | 700÷2=350 | 700÷4=175 |
5位 | 650 | 650÷2=325 | 650÷4=162.5 |
18位 | 125 | 125÷2=62.5 | 125÷4=31.25 |
短距離・中長距離でも同等の総合ポイントが与えられる。しかし、この総合ポイントを等分していく過程が、短距離・中長距離で異なってくる。
短距離の場合
総合ポイントを2等分。スプリント・ケイリンそれぞれにおける「UCI個人ランキング」のUCIポイントととして加算されていく。1位の場合は450ポイントずつが加算されていく。
中長距離の場合
総合ポイントを4等分。スクラッチ・エリミネーション・ポイントレース・オムニアムにおける「UCI個人ランキング」のUCIポイントととして加算されていく。1位の場合は225ポイントずつが加算されていく。
別途に「ポイントレース」を実施
以上の4種目に加え、2022年のチャンピオンズリーグではポイントレースも実施される。しかしこのポイントレースは厳密には、大会のプログラムに含まれている正式種目ではなく、別途に実施されるもの。
各ラウンドにて観客が来場する前に、同会場内で実施され、チャンピオンズリーグの中長距離種目に出場する全選手が参加しなければならない。
つまり全5ラウンドそれぞれの開始直前に、同会場にてポイントレースのみの大会がある、と理解すれば良いだろう。
そして全5戦が実施されるこのポイントレースではそれぞれ、クラス1の大会と同等のUCIポイント(クラス2の倍のポイント)を獲得できる。ただし個別の大会として実施されるため、総合ポイントなどは与えられない。
全5戦を優勝すれば、1,000ポイント(200×5)をポイントレースのUCI個人ランクングのUCIポイントとして獲得できるという訳だ。
しかし、ポイントレースは2024パリオリンピックの正式種目には含まれておらず、チャンピオンズリーグの総合成績にも反映されないため、これより先の解説では割愛させていただく。
参照:UCI Track Champions League 2022 Race Manual
おさらい
『UCIトラックチャンピオンズリーグ』で獲得できるUCIポイントは以下の2種類。
・各ラウンド・種目での順位に応じたUCIポイント
・全5ラウンドの総合順位に応じたUCIポイント
仮に短距離に出場し、スプリントでは全5ラウンドで優勝、ケイリンでは全5ラウンドで2位という結果を残し、総合順位が1位となった場合、スプリントの「UCI個人ランキング」に(100×5)+(900÷2)=950ポイントのUCIポイントが加算され、ケイリンでは(90×5)+(900÷2)=900ポイントが加算されることになる。
一方の中長距離に出場し、スクラッチでは全5ラウンドで優勝、エリミネーションでは全5ラウンドで2位という結果を残し、総合順位が1位となった場合、スクラッチの「UCI個人ランキング」に(100×5)+(900÷4)=725ポイントのUCIポイントが加算され、エリミネーションでは(90×5)+(900÷4)=675ポイントが加算。ポイントレースとオムニアムの「UCI個人ランキング」にはそれぞれ(900÷4)=225ポイントのみが加算されることになる。
参照:UCI Regulations TRACK RACES 3.3.010 quater
2024パリオリンピック出場に向けた重要度
ここまで『UCIトラックチャンピオンズリーグ』ではどれくらいのUCIポイントが獲得できるのかを解説してきた。
それらを踏まえ、2024パリオリンピックの出場枠獲得を最大の目標とした場合、トラックチャンピオンズリーグの重要度はどれくらいなのだろうか。
間接的な影響あり
『UCIトラックチャンピオンズリーグ』での成績はパリオリンピックへの出場には直接関係しない。パリオリンピックの出場枠を分配する際に基準となるのは、以下の3種類の大会だけだからだ。
・『2023世界選手権トラック(エリート)』
・2023年・2024年『UCIトラックネーションズカップ』
・パリオリンピック直近の『大陸選手権』2大会
トラックチャンピオンズリーグは以上3大会のうち特に、ネーションズカップと世界選手権に出場するための「UCIランキング争い」に影響を及ぼす可能性を持っている。
「UCIランキング」はUCIポイントに応じて算出されるもの。短距離の場合、最大950ポイントが獲得できる。以下の表のように、各大会で優勝した場合に獲得できるUCIポイントと比較しても、本大会が持つ影響力を伺える。
オリンピック 世界選手権 |
ネーションズカップ | 大陸選手権 | クラス1大会 | 国内選手権 クラス2大会 |
|
1位が獲得できるUCIポイント (個人種目の場合) |
1000 | 800 | 600 | 200 | 100 |
「パリオリンピック出場枠獲得」に直接の関係はないが、「パリオリンピック出場枠獲得のための、対象大会への出場権獲得」には関係してくる、ということ。