オリンピックの出場基準は?

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『2023世界選手権トラック』に出場するためには?

では『2023世界選手権トラック』にはどうすれば出場できるのか。

出場枠を獲得するには、主に以下の2つの方法がある。

1. UCIポイントをより多く獲得しておく。
2. 直近の世界選手権・大陸選手権で優勝する。

1. UCIポイントを基準に出場枠を分配

オリンピックやその他の大会と同様、『2023世界選手権トラック』の出場枠は主に「UCIポイント」を基準に分配される。

重要なのは、いつのUCIポイントが基準となるのか。

世界選手権の場合、開幕日の6週間前のUCIポイントが基準となる。

しかし、各大会で獲得したUCIポイントは永久的に蓄積されていくものではない。UCIポイントの有効期限は獲得日から1年間*。

※例外として、1年間のうちに同じ大会が2回以上開催された場合は、最も直近の大会で獲得したUCIポイントのみが有効となる。例えば全日本選手権は、2021年大会が2021年12月に、2022年大会が2022年8月に開催され、1年間に2大会が行われた。この場合、2022年大会で獲得したUCIポイントのみが有効となる。

参照:UCI Regulations
WORLD CHAMPIONSHIPS 9.2.023 , TRACK RACES 3.3.003

Women's Team Pursuit Podium / 2021 Track Cycling World Championships, Roubaix, BRAUSSE Franziska(GER)フランチスカ・ブラウス, BRENNAUER Lisa(GER)リサ・ブレナウアー, KROEGER Mieke(GER)マイキ・クローガ, SUESSEMILCH Laura(GER)

『2023世界選手権トラック』の開幕日は、2023年8月3日。その6週間前からの過去1年間、つまり「2022年6月23日〜2023年6月22日」で獲得したUCIポイントが、『2023世界選手権トラック』の出場枠を分配する際の基準となる。

そしてその期間中に開催される大会のうち、最も高いUCIポイントを獲得できるのが2022年10月12日より開幕する『2022世界選手権トラック』。

つまり本大会でより良い成績を残した選手や国が、『2023世界選手権トラック』への出場により近づくということだ。

参照:『2023世界選手権トラック』公式サイト

2. 各チャンピオンの特別枠

保有UCIポイントの上位選手に対し、順番に出場枠が分配されていく方法を説明したが、例外が存在する。

それがいわゆる「チャンピオン枠」。

『2022世界選手権トラック』と「各大陸選手権2023年大会」で優勝したチャンピオンには、UCIポイントに関係なく『2023世界選手権トラック』の出場枠が与えられる*。

2022 UEC U23 European Track Championships

従って『2022世界選手権トラック』での優勝は、『2023世界選手権トラック』への切符を勝ち取ることができる最短ルート。

世界選手権や大陸選手権はその他の選手より一足先に、次回の世界選手権出場への切符を手にすることができる特別な大会だ。

※『2023アジア選手権トラック*』の日程は2022年9月現在未定。チャンピオン枠を獲得するには本大会が『2023世界選手権トラック』より前に開催される必要がある。
※チームスプリントやチームパシュートなど、例外となる種目もある。

その他、各種目の出場枠数や詳しい分配方法などについては以下記事をご覧いただきたい。

仕組みを解説!「トラック世界選手権」への出場条件は?/『2022世界選手権トラック』10月12日〜(フランス)

以上本記事では、2024パリオリンピック出場を最大の目標とした場合、2022年10月12日より開幕する『2022世界選手権トラック』がどれほど重要な大会となるのか、その理由について解説してきた。

ジェイソン・ニブレット短距離コーチが語っていた通り、まさに「パリオリンピックへの戦いは既に始まっている」ことがお分かりいただけるだろう。

“世界一”を決める年に1度の祭典「世界選手権トラック」。各年の最強選手を見届けるとともに、オリンピックに向けた長期的な視点からも大会を楽しんでほしい。