新生ナショナルチームの好タイムは?

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3つの世界記録が更新された会場

新記録の樹立は当然、選手たちの能力・調子次第。

しかし外部的な要因もトラック競技ではしばしば重要な要素として語られる。

『2022ジャパントラックカップ I / II』が開催されるのは、静岡県にある伊豆ベロドローム。東京2020オリンピックの開催地となった場所だ。

ちょうど1年前に開催されたこの東京オリンピックは、多くの新記録が誕生した大会となった。

3つの世界記録、6つのオリンピック記録、2つの日本記録が更新されている。

東京オリンピックで更新された世界記録・日本記録まとめ

“夏開催”という共通点

この新記録に影響を与えていると考えられるのが「夏開催」という点。

現在の200mFTT世界記録(男女とも)はボリビアのコチャバンバにて開催された『2019パン・アメリカ選手権トラック』にて樹立されたもの。本大会は現地の最高気温が約28〜29℃の9月に開催された大会だ。

参照:気象庁(ボリビア・コンチャババの 天候)

暖かい空気は冷たい空気よりも密度が低い

UCIが2019年に公開した「トラック競技におけるスピードの科学:ライダー・機材・環境のハーモニー」という題名のコラムでは、”温室”が及ぼすタイムの向上についても示唆されている。

本コラムでは、”暖かい空気は冷たい空気よりも密度が低いため、その分生じる空気抵抗も少なくなる”と解説されている。

2019年にブラッドリー・ウィギンスがアワーレコードに挑戦し、当時の前記録保持者のアレックス・ダウセットを上回った時も、計測が実施されたロンドンのリーバレー・ベロドロームの室内は28℃にコントロールされていた。

加えて(これは肌感覚の話となってしまうが)「冬は寒さで体が硬くなってしまうため、夏の方がタイムが出しやすい」と話す選手もいる。

以上の条件を踏まえると、『2022ジャパントラックカップ I / II』は新記録の樹立が期待できる大会と言える。

参照:UCIコラム「The Science of track speed: rider, machine and environment in harmony」

トラック競技の科学 選手とマシンと環境から生まれるスピードとは

記録更新のチャンス到来

2022年、国内で開催される初の国際大会である『2022ジャパントラックカップ I / II』。

実施されるのは合計4種目(短・中長距離2種目ずつ)と、今シーズン日本人選手が出場してきた大会に比べると、ややコンパクトな大会となる。それゆえ、本大会の短距離種目にエントリーしている日本人選手男女12人が、スプリント・ケイリンの両種目に出場する予定となっている。競争率が高まった激戦に要注目だ。

ぜひ、無料観戦できる伊豆ベロドロームに足を運び、もしくはMore CADENCEの生中継を視聴し、本大会での新記録樹立に期待を馳せながら選手たちを応援してほしい。

7カ国が出場!エントリーリスト公開/『2022ジャパントラックカップ I / II』7月28日〜31日