実は自転車競技大国!?歴史と実績を併せ持つコロンビア
実はコロンビアは、トラック以外でも世界トップクラスの実績を残している「自転車競技大国」。世界トップレベルで活躍している主な現役選手だけでも、異なる競技から10人以上が挙げられる。
ここからは、2022年5月5日に公開されたUCIによるコラムを基に、コロンビアの強さの秘密を紐解いていく。
ロード
選手名 | 所属チーム(2022年) | 直近の主な実績 |
エガン・ベルナル | INEOS Grenadiers | ジロ・デ・イタリア総合優勝(2021) |
ナイロ・キンタナ | Team Arkea Samsic | ツール・ド・ラ・プロヴァンス総合優勝(2022) ツール・デュ・オー・ヴァル総合優勝(2022) |
エステバン・チャベス | EF Eduacation – EasyPost | 国内選手権個人TT2位(2022) 国内選手権ロードレース3位(2022) |
リゴベルト・ウラン | EF Eduacation – EasyPost | ツール・ド・スイス ステージ優勝(2021) |
フェルナンド・ガビリア | UAE Team Emirates | ツアー・オブ・オマーン ステージ優勝2回(2022) |
セルヒオ・イギータ | BORA – hansgrohe | 国内選手権ロードレース優勝(2022) ボルタ・ア・カタルーニャ総合優勝(2022) |
BMXレーシング
選手名 | オリンピック実績 |
マリアナ・パホン | 金2・銀1 |
カルロス・マリオ・オケンド・ザバラ | 銅1 |
カルロス・ラミレス | 銅2 |
マウンテンバイク
選手名(種目) | 世界選手権実績 |
エクトル・レオナルド・パエス(XCM) | 金2・銀1・銅3 |
ディエゴ・アルフォンソ・アリアス(XCM) | 銀1 |
※XCM:クロスカントリーマラソン
ではその強さの秘訣はどんなところにあるのだろうか。UCIのコラムで言及されているその要因を、順番にご紹介していく。
『ブエルタ・ア・コロンビア』70年以上もの歴史
コロンビアはトラック競技だけが盛んな国でもなければ、自転車競技の「新興国」でもない。
『ブエルタ・ア・コロンビア』というロードレースは1951年から開催されており、2022年には第72回大会を迎える。この長い歴史を持つ大会は、コロンビアの自転車競技において非常に重要な役割を果たしているそうだ。
コロンビアの国内自転車競技連盟の会長は、
「(ヨーロッパなど)国外での活躍よりも、この大会での優勝を重要視する選手すらいた」
と語っている。
また、2016年からは女子選手の『ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ』も開催。2021年大会では、無料の全国放送でレースの模様が放映され、海外からの5チームを含めた全176人が出場する大規模開催となった。
コロンビア各地を走るこのステージレースの影響もあり、コロンビアの国民的なスポーツとして自転車競技が馴染んでいったのだと考えられる。
※ステージレース:2日以上に渡り開催されるロードレース。世界選手権やパリ〜ルーベなどは1日で完結する「ワンデーレース 」。
大規模な育成プロジェクト・スター選手による支援
選手たちへの支援が活発に行われていることも、コロンビアの自転車競技を盛り上げている1つの要因。
コロンビア国内自転車競技連盟は「Advanced Development Projects(PAD)」を実施し、新たな才能の発掘・育成を行っている。こちらは、コロンビアスポーツ省の支援による活動で、トラック・BMXレーシング・マウンテンバイク・パラサイクリングの4つの自転車競技が支援対象となっている。
トラック競技の場合、1次募集で集まった約1500人の候補選手に対し、様々な審査を行っていく。審査を通過し最終的に残った男女合計250人ほどが、支援育成の対象となる。
このPADの影響もあり、「パン・アメリカ競技大会2021ジュニア」ではトラック競技全12種目のうち、10種目でコロンビア選手が金メダルを獲得する強さを見せている。
さらにPADのような国内連盟による支援に加え、コロンビア出身のスター選手も自国の自転車競技の活性化のために支援活動を行っている。
「ジロ・デ・イタリア2021」で総合優勝を果たしたエガン・ベルナル(25歳)は「EB Project」と称し、14〜24歳のサイクリストに支援を提供する活動を2022年から開始。医療・栄養・技術指導・機材など、自転車競技選手を目指す上で必要な様々な支援が提供される予定だ。