東京2020オリンピック」男子チームパシュートに出場したオーストラリアチーム。同チームは銅メダルに輝いたものの予選にて落車のアクシデントに遭い、決勝では本調子とは言えない状況での出走を強いられていた。

この落車は、アレクサンダー(アレックス)・ポーター選手が乗っていたバイクのハンドルが突如外れてしまったことによって発生したもの。

時速約60kmでの走行中に落車してしまったため、ポーターは顔面などの数箇所を擦る怪我を負い、以降のレースではルーカス・プラップが代走した。

参考:Guardian

原因究明のための調査を依頼

アレクサンダー・ポーター Alexander Porter (AUS), Men's Team Pursuit Qualifying AUGUST 2, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

オーストラリア自転車競技連盟(オーストラリア車連)は本アクシデントを受け、大会後にその原因究明のための調査を開始。そして東京オリンピックから約半年後の2022年2月24日に、同車連はその原因として、チームバイクの管理が不適切だったことを公表した。

オーストラリア車連は原因究明のための調査を外部機関に委託しており、その委託機関によるレポートを受け、今回の声明発表に至っている。

ケランド・オブライエン Kelland O’brien (AUS), サム・ウェルスフォード Sam Welsford (AUS), レイ・ハワード Leigh Howard (AUS), アレクサンダー・ポーター Alexander Porter (AUS), Men's Team Pursuit Qualifying AUGUST 2, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)AUGUST 2, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

本レポートには、このアクシデントを誘引したと考えられる様々な要因が挙げられており、そのうち以下の2つが重大なものだったとしている。

・カスタムされたハンドルバーの仕様が適切ではなかった点。
・バイクの耐久テストが適切に実施されていなかった点。

レポートではその他にも、レースが実施される前に不適切な箇所を発見・修正できなかったチームの体制に不備があったことも指摘している。

さらに機械工学と航空工学のエンジニアである本レポートの筆者は、以上のような不備や不適切性を指摘するだけでなく、改善のための推奨案も提示している。チーム体制や品質管理に関わる案に加え、ベースバーの生産メーカーに対するものも提示されており、オーストラリア車連はこの全推奨案を採用した。

※ベースバー:トラックパシュート種目のバイクに装備された、前腕を支えながら操縦するためのパーツ

関係者・選手本人コメント

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