中長距離各種目のルール、見どころ
続いて、中長距離各種目のルールと見どころを紹介する。
チームパシュート
【ルール】
4人1組で構成されたチームが2チームずつ4kmを走り、3番目の選手がゴールしたタイムを競う。「団体追い抜き」とも呼ばれ、空気抵抗を避けるために4人が息を揃え、順に先頭を交代しながら速さを求める。予選はタイムトライアル方式、その後の1回戦とメダル決定戦は、2チームごとが先着を競う対戦方式で行われる。一回戦以降、“追い抜き”(他チームを追い越す)した場合、その時点で勝ちが決まる。
【見どころ】
勝負の鍵は、シンクロ率の高さにある。それぞれの走者が走りにおける役割を持ち、互いの疲労を減らす「one for all」のチームワーク。美しいラインから生み出される速度感、バンクの傾斜を駆使した交代風景は、見どころのひとつ。
オムニアム
【ルール】
ラテン語で「全部」を意味するオムニアムは、1日を通して全4種目を行い、総合点で順位が競われる複合種目。
①スクラッチ(男子は10km・女子は7.5kmを走り、ゴールの順位を競う)
②テンポレース(男子は10km・女子は7.5kmを走り、獲得したポイント数で争う。5周目からは、毎周1位通過の選手に1ポイントが与えられる。オリンピックでは、東京2020で初の実施となる)
③エリミネーション(2周ごとに最後尾の選手が1名除外(エリミネイト)され、最後には1対1の勝負になるまで続く)
④ポイントレース(男子は25km・女子は20kmを走り、ポイント合計点を競う。10周回ごとに1位~4位に対して5点、3点、2点、1点が割り振られ、ゴール周回では各ポイントが倍になる。)
上記順で行われる4種目はそれぞれ、①~③は順位に割り振られたポイントの合計と、④のポイントレースで獲得したポイントとの合算で順位が決まる。
【見どころ】
勝負に「絶対」がないこの種目で選手が求められるのは、トラック競技における「総合力」。持久力や戦略など、さまざまな要素が詰め込まれた種目である。後半での大どんでん返しもありうる、「絶対勝てる」が少ない総合種目を、ハラハラしながら観戦しよう。
マディソン
【ルール】
2人1組で行われる。男子は200周50kmを、女子は120周30kmを走る。選手たちは走者交代の際に相手の腕を取り投げ飛ばす、通称ハンドスリングという技術を駆使して加速を続ける。10周ごとに設けられたポイント周回で、1位〜4位に対して5点、3点、2点、1点が割り振られ、ゴール周回のポイントは倍になる。集団から抜け出し、他ペアと1周差をつける(ラップする)と、そのペアには20点が加算される。
【見どころ】
東京オリンピックから新たに導入された、マディソン種目。総勢32人の選手がトラックに集結し、ハイスピードのなか二人一組で互いの手を取り投げ合う、迫力のハンドスリング(腕をとって投げ合う)が見どころ。巧みに交代を繰り返すテクニックと、複雑な戦略から目が離せない。ポイント獲得1周前の合図である鐘が鳴る前後のペアの動きや、スプリント勝負にも注目だ。