難コースに挑む128人

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勝負への序章

富士山麓を上る南富士エバーグリーンラインでは集団のペースが上がるが、逃げとのタイム差が詰まるだけで集団の人数を大きく絞り込みにかかるようなチームはなく、ポロポロと後方の選手が遅れていくような状態が続く。日本の新城幸也や増田成幸も富士山麓で一度集団から千切れて(メイン集団に遅れて)しまう。しかし、富士山麓の上りを終えると、長い下りで新城は集団へと復帰した。

富士スピードウェイに戻る区間でも集団は変わらずトラトニック(スロベニア)が引き続ける。富士スピードウェイの2周目に入る頃、逃げグループの統率も取れなくなる一方で、集団は終盤の勝負どころに向けてさらにスピードを上げる。逃げとのタイム差は一気に1分30秒ほどまで縮まった。

明神・三国峠を前にした富士スピードウェイでの周回コースでは、集団に動きが出始める。集団から抜け出そうと、今年のジロ・デ・イタリアで総合2位となったダミアーノ・カルーゾ(イタリア)がアタックを仕掛けた。この動きをきっかけに強豪選手たちによる壮絶なアタック合戦が始まった。

一時、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)、エディ・ダンバー(アイルランド)、ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア)という豪華メンバーが飛び出すが、集団が許さず。明神・三国峠を前に追いついた。

ひとつの大きな集団に

イタリアやフランスのメンバーが前を引く集団はスピードが上がったまま、逃げていた5人も全て飲み込み、およそ60人ほどの大人数での集団のまま、最後の上り、明神・三国峠へと突入した。

上りに入ると、集団はティシュ・べノート(ベルギー)がコントロールする。その後ろにはベルギーのエースであるヴァンアールト、そしてその後ろには今年のツール・ド・フランスの総合優勝をしたばかりのタデイ・ポガチャルと普段はポガチャルのライバルでもあるプリモシュ・ログリッチのスロベニア勢が顔を揃える。

ポガチャルが加速

そして上り始めて1kmほどのところで、いよいよポガチャルが加速。それにつくことができたのは、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)、マイケル・ウッズ(カナダ)のみだった。

集団後方では新城やバルベルデ、エヴェネプール、そしてログリッチらも集団から脱落していく。

しかし3人の逃げは、追走グループにとって絶望的な差を生むことはなかった。険しい6.8kmの上りを終え、追走集団と合体。先頭は、それぞれチームメイトが誰もいない13人の個人戦となった。その中には、スプリント力でずば抜けているヴァンアールト(ベルギー)の姿も。

残すは籠坂峠の少しの上りと長い下り、そして富士スピードウェイの周回コースのみというところで、最終フィニッシュを集団スプリントに持ち込みたくないクライマー系の選手たちが山中湖の区間で代わる代わるアタックしていくが、ことごとく集団に追いつかれた。

勝者の力の使い所

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