難コースに挑む128人

JULY 23, 2021 - Cycling : Men's Road Race during the Tokyo 2020 Olympic Games at 富士スピードウェイ/the Fuji International Speedway in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

2021年7月24日、東京オリンピック男子ロードレースが東京都・武蔵野の森公園をスタートした。

コースは224km+パレード走行(競走とならない走行)10kmの総距離234km。大きく見ると、道志みち、富士山麓、明神・三国峠と3つの上りを越える獲得標高4865mの超山岳コースだ。

ルートとしては、ゆるく上り続ける道志みちを上りきってから山中湖畔を半周。旭日丘交差点を曲がって籠坂峠を少し上ってから下り、今度は御殿場方面へ。普段は自動車専用道路の南富士エバーグリーンラインを通って富士山麓へと向かう。

上り切ったら富士山スカイラインで一気に下り、再び富士スピードウェイ方面へと戻る。そのまま富士スピードウェイに入って2周し、最後の勝負所と目された平均勾配10.1%、6.8㎞の明神・三国峠を越えてまた山中湖へ。

再度籠坂峠を少し上ってから下り、最後の富士スピードウェイに入って1周してフィニッシュというコースだ。

出走メンバーは、先週末終わったばかりのツール・ド・フランス出走者を含む、このコースに適性を持った強豪選手が出揃った。

新型コロナの影響も

レース前日、アレハンドロ・バルベルデ擁するスペインチームのマッサージャーに新型コロナ陽性が出たが、選手たちは陰性。無事に出走できることが決まった。

一方で、ドイツのシモン・ゲシュケは本人が陽性判定が出てしまったため、出走停止。なお、他ドイツ選手については陰性の判定が出ており、ドイツは4人から3人の出走となった。また、チェコのミヒャエル・シュレゲルも新型コロナ陽性にて未出走となっている。

逃げ集団

11時に無観客の武蔵野の森公園でスタートが切られ、10kmのパレード走行を経て、リアルスタートを切った集団からまず飛び出したのは、ユライ・サガン(スロバキア)、ニック・ドラミニ(南アフリカ)、エドゥアルド・グロス(ルーマニア)や日本のチームで活動していた経験を持つオールイス・アウラール(ベネズエラ)など、出場選手数の少ない国のメンバーが集まった8人の逃げが形成される。

集団は逃げを行かせると、ベルギー、スロベニア、オランダ、ポーランドなど優勝候補を揃えるチームが前方で蓋をし、これ以上逃げが行かないようコントロール。カスパ・アスグリーン(デンマーク)や前回大会王者のフレッヒ・ヴァンアーベルマート(ベルギー)が先頭となって引く集団と逃げ集団とのタイム差はどんどん広がっていった。

集団は完全にペースが落ち、逃げとのタイム差は、残り185km地点でおよそ11分に広がった。集団では、暑さ対策のために多くの選手がチームカーから補給を受け取る様子が見られた。

追いかける動きへ

途中雨も降る中、まず最初の上り、道志みちを集団で突入すると、タイム差は15分ほどまで広がる。

元々ナミビア代表として出走予定だったダン・クレイブンが新型コロナ陽性となり出られなくなってしまったため、リザーブとして代わりに出走したMTB選手のトリスタン・デランジ(ナミビア)が1人追走に飛び出したが、しばらく一人で走った後、集団へと戻った。

道志みちも中盤を過ぎると、逃げとのタイム差を詰めるべく、集団も徐々に追走ムードに。ヤン・トラトニック(スロベニア)やヴァンアーベルマート(ベルギー)が速度を上げて集団を牽引し始めた。

優勝候補のタデイ・ポガチャル(スロベニア)はしっかりと集団前方に位置取りを行っていた一方、上りの途中で、集団の中ほどに位置していたイギリスの2人、ゲラント・トーマスやタオ・ゲーガンハートが落車してしまう。トーマスは右肩に擦過傷を負った状態で再乗したが、途中リタイヤとなった。

道志みちを上り終える頃、8人の逃げは、サガン(スロバキア)、ドラミニ(南アフリカ)、アウラール(ベネズエラ)、ミヒャエル・クークレール(チェコ)の5人となり、そのまま山中湖へと下っていく。結局、この逃げのメンバーは、リアルスタートから最後の明神・三国峠に入る手前まで逃げ続けた。

勝負への序章

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