久しぶりの女子ロードレース

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内野艶和&鈴木奈央インタビュー

東日本ロードクラシック群馬大会 内野艶和

1人で追走をかける内野

内野は、日本競輪選手養成所を出てから初めてのレース。一昨年と比べて、周りから「ガッチリしたね」と言われるほどに体は変わっていた。それでも予想よりも走れたと内野は語る。
「すごいきつかったんですけど、思ったよりも走れていて。もうちょっと早くちぎれちゃうかなと思ってたんですけど、案外ついていけたので、まあまあ良かったかなと思います」

東日本ロードクラシック群馬大会 鈴木奈央

厳しい表情を浮かべながらも周回をこなす鈴木

鈴木がロードレースを走ったのは、実に高校生ぶりだった。日本での女子ロードレースで80kmを超えるような大会は少ない。この距離を走ったのは初めてだったと鈴木は言う。
「大会が新型コロナでなくなってる中で、高い強度の練習をしてはいます。でも『やっぱりレースの方が練習になるから、奈央にはきついコースできついレースになると思うけど』って(グリフィン)コーチからも勧められて出たんですが……きつかったです」と、疲労の色をあらわにした。
しかし諦めずに完走し切った。
「私も完走できると思わなかったです。でも、やっぱり海外の中長距離選手は結構ロードレースにも出ていて、強い選手も多いので。そこが私の弱点なので、頑張ります」

古山稀絵&中村妃智インタビュー

古山は、昨年(2020年)9月の学生選手権ぶりのロードレース。そのときもこの群馬サイクルスポーツセンターが会場だった。今回のレースを振り返ってこう話す。
「いつも頑張りどきや踏ん張りどきって必ずポイントがあって、そういうときに粘り強さが発揮できてはいたんですけど、今回に関してはもう完全に気持ちが負けてしまって。あぁ駄目だ……っていうところから全然踏めなくなってしまったので、そこが反省点かなとは思います」
さらに、ロードレースでの経験もトラック競技にも生かしていきたいと話す。
「やっぱり中長距離選手として、ロードトレーニングは必須条件になってくると思うので、こういう粘り強さや元々の体力アップのために、こういうレースは必要だと思います。今後に生かしていきたいと思っています」

東日本ロードクラシック群馬大会 古山稀絵

心臓破りの坂を集団で上る古山

また、ジュニアカテゴリーのロードレースなどで成績を納めており、今回2位となった渡部の強さも耳にしていたという。
「いろいろ噂は聞いていたんですけど、なかなか戦う機会もなくて。それが(渡部が)大学生に上がって戦う機会が増えて、本当に噂通りの強さだなというのは感じていて。だからこそ本当に自分ももっと頑張らないといけないなっていうのを感じられます。高校生も選抜大会の記録とかすごいので、そういう選手たちが中長距離にも入ってきてくれたら、どんどん強い中長距離が見えてくると思います」

東日本ロードクラシック群馬大会 中村妃智

集団で上る中村

中村も群馬のこのコースは以前に走ったことがあった。やはりいつも走るより長い距離に苦戦した。
「長かったです、本当に。毎周回、あと何回って数えながら走ってました。でも自分の我慢するポイントは1ヶ所しかなかったので、そこのポイントを何回クリアできるかだけ考えて走っていました」

走った感触について、こう話す。
「1回アタックが上りで起きて、そこで結構選手がばらけたときに先頭集団に入れたのは、自分の中ではよく乗り越えたと思います。でもその次の上りでペースがきつくなってしまって離れたので、そこからはちょっと頑張りが足りないと思いました。
そこのふるいをクリアできたのは、自分の中で1個、自分を褒めたい点だったんですけど、その先でやっぱり脚が一気に溜まってしまって、1回マックスまで行っちゃったらそこからなかなか戻らなくて。それで上りがきつくなってしまって終わってしまったので、もうちょっとそこを我慢したいですね」

東日本ロードクラシック群馬大会 中村妃智

フィニッシュした中村

トラックとロードレースのきつさの違いについて聞くと、「キツさ(の種類)が違うんですけど、ロードはポイントポイントで頑張る感じ。そこがクリアできなかったら、あとは自分だけの頑張りになります。平均的にずっときつさがき続いてるのはトラックの方、マディソンとかそうですね。交代するので、休んではいるんですけど、あの時間は実際そんなに休めていなくて。40秒もがいて30秒休みっていうのを延々と繰り返してる感じなんです」と説明した。

梶原悠未インタビュー

4位に入った梶原は走った感触について、「実際に走ってみて、上位2人の女子選手たちは、とても攻撃的で、強い選手と感じました。その選手たちに食らいついていくような形で、しっかり最後まで追い込むことができました」と話す。

調子の波もオリンピックまでを計画していると語る。
「4月3日に行われたトレーニングレースのときは、予定ではネーションズカップが始まる直前だったので、すごくいい状態まで持っていっていたんです。(ネーションズカップが)中止になったこともあって、一度波を作るような形でトレーニングの方向を少し変えました。今は少し疲労がたまっている状況でもあるんですけど、5月13日から香港でネーションズカップが予定されているので、そこにピークを持っていきたいと思います。このように落としつつも上げてという形で、波を作ってオリンピックにピークを合わせられるように計画しています」

3月と4月に行われた男子選手と混合のトレーニングレースで、持久力に対する手応えを感じつつ課題を得た梶原。現状取り組んでいるのは、高速での巡航や、巡航からのアタックによってラップを狙いにいく攻撃力の強化だという。
「自分の持っているスピードをチャンスで活かせるように準備していきたいと思います。女子のスピード以上に男子のスピード感に慣れていくことで、オリンピックでは余裕を持って勝つことができると思うので、レベルの高い練習に取り組んでいきたいです」

東日本ロードクラシック群馬大会 梶原悠未

フィニッシュした梶原

また、久々に女子のロードレースを走った感覚をこう語った。
「若い選手が強くなって、女子の国内のレベルが上がってきてると思います。しっかり引っ張っていって、オリンピックで結果を残し、国内の女子選手たちの道を示せるような存在になりたいと思います」
翌日の60kmのレースで梶原は、3人でのスプリント勝負に競り勝ち、優勝している。(※オープン参加のため、参考記録)

オリンピック目前の国際大会

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