マウンテンバイクやロードレース、シクロクロスでさまざまな種目で活躍するイギリスのトム・ピドコックが、2025年6月11日にウィンザー城で行なわれた叙勲式にて大英帝国勲章・OBEを受章した。
大英帝国勲章とは?
イギリス王室から各年に活躍した人・団体に送られる勲章のこと。学問や平和に加え、芸能や文化・スポーツなど様々な分野における活躍が対象となっている。
勲章は以下のように5等級に分類されており、
・ナイト・グランドクロス/デイム・グランドクロス(GBE、大十字騎士)
・ナイト・コマンダー/デイム・コマンダー(KBE/DBE、司令官騎士)
・コマンダー(CBE、司令官)
・オフィサー(OBE、将校)
・メンバー(MBE、団員)
耳馴染みのある“サー(女性の場合はデイム)”は、「KBE/DBE」「GBE」が授与された場合の敬称として用いられるものとなる。
「MBE」からの“格上げ”
1999年生まれのトム・ピドコックは、ジュニア時代からシクロクロス/ロードレースで世界選手権を制するなど活躍。マウンテンバイクでも2019年に国内選手権 クロスカントリー(U-23)で優勝したほか、東京オリンピックでも金メダルを手にするなど、超ハイレベルなマルチプレイヤーとして知られている。

東京オリンピックで金メダルを獲得したことを受け2022年に「MBE」を受章していたが、2024年のパリオリンピックで銅種目連覇を果たした功績を讃え、“1段階格上げ”となる「OBE」の受賞に至った形となる。
なお、これまでイギリスの自転車選手では、オリンピックにて通算6枚の金メダルを獲得した“伝説のスプリンター”クリス・ホイやブラッドリー・ウィギンス、ローラ・ケニーらが「KBE/DBE」を叙勲。
ピドコックが叙勲に至った「2025年新年叙勲」では、パラリンピックで2つの金メダルを獲得したジャコ・ヴァンガス(OBE)、世界新で金メダルに輝いた女子チームスプリントメンバーであるソフィー・ケープウェル、エマ・フィヌカン、ケイティ・マーシャン(MBE)ら複数のサイクリストに大英帝国勲章が授与されている。

大英帝国勲章の受章は、単なる競技成績だけでなく、その人物が社会に与えるインパクトも評価されてのこと。特に若干25歳にして“オフィサー”となったピドコックは、自転車界の枠を超えた新たなアイコンとして、確かな地位を築きつつあるといえるだろう。