大失速してしまったバルベルデ

逆に、第20ステージだけでマスやロペスから3分以上ものタイム差を失ったのが、その前日まで総合2位だったバルベルデである。

2018ブエルタ・ア・エスパーニャでポイント賞ジャージを獲得したアレハンドロ・バルベルデ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018でポイント賞ジャージを獲得したアレハンドロ・バルベルデ

ゴールまで残り17km。先頭で逃げるキンタナとロペスを追って、サイモン・イェーツがメイン集団からアタックを仕掛けたとき、バルベルデは集団の後方で、まったく身動きが取れずにいた。ジロ・デ・イタリア総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル/モビスター チーム)が何度も振り返りバルベルデをアシストするが、彼はもう、ついていくのに精一杯という様子であった。

そして、残り4km。逃げ集団から降りてきたキンタナが必死に集団を牽引し、サイモン・イェーツらを追いかけるためにペースを上げていくと、ついにバルベルデは集団から千切られていき、完全に遅れをとってしまう。

その後もキンタナが献身的にその前を牽こうとするが、バルベルデのペースは上がらない。そのままずるずるとタイム差だけが開いていき、総合順位は一気に総合5位にまで崩れ落ちてしまった。

彼も今年で38歳。もはや、3週間を全力で闘い続ける力は残っていないのだろうか。

だが逆に、それだけの年齢でありながら、最終盤まで総合2位を保てていたこと自体が驚異的なことだという見方もできる。ここ10年のグランツールの総合優勝者の平均年齢は大体28歳から29歳。そこから10歳以上も離れたバルベルデのこの成績は、十分に規格外と言うべきものだろう。

それでも、近年のブエルタでは41歳で総合優勝した選手もいる(2013年のクリス・ホーナー)。バルベルデもまた、同じように表彰台の頂点に立つ姿をもう1度見ることは十分にできるはずだ。

いつまでも若さを忘れない男、バルベルデの更なる活躍を、今後も引き続き楽しみにしていたい。

新しい力を発見できるのがブエルタらしさ

大会前の予想通り、若手の台頭や新しいグランツール覇者が誕生したブエルタ・ア・エスパーニャ2018。ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスとは明らかに毛並みの違うグランツールだと言えるだろう。

今後もこの独特なグランツールは、我々を楽しませてくれるに違いない。