チーム力の高さを見せつけたアスタナ

第20ステージにおける総合順位逆転の最大の要因となったのは、順位を2つずつ上げたエンリク・マス(スペイン/クイックステップフロアーズ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム)の積極的な走りだった。

ロペスに関しては、チーム自体が活発な動きを見せ、それを受けて有利に立ち回ることができた。ゴールまで50km以上を残した1級オルディーノの登りで、アスタナは集団を完全にコントロールした。

2018ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージコースプロフィール

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第20ステージコースプロフィール
引用:ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

続く1級山岳ベイシャリスの登りでも、引き続きアスタナがハイペースで集団を牽引。これによって、総合9位のヨン・イサギレ(スペイン/バーレーン・メリダ)や総合11位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)などが次々と振るい落とされていく。

そして、残り38km地点でメイン集団からロペスがアタック。同じタイミングで逃げ集団から降りてきた2人のチームメートに牽引されて、一気にライバルたちとのタイム差をつけることに成功。これは完璧な“前待ち作戦”であった。

しかし、最大で30秒近くメイン集団からタイム差をつけたアスタナの攻撃も、アダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット)の献身的な牽引によって潰されてしまった。しかし、ベイシャリスの下りで飛び出したナイロ・キンタナ(コロンビア/モビスター チーム)についていく形で再びロペスが抜け出し、メイン集団との差を決定的なものにした。

3年前のブエルタでも、同じような前待ち作戦によって逆転総合優勝を果たしているアスタナ。今回も、高いチーム力を活かして、逆転を狙う積極的な走りを見せた。

急激な成長を遂げたエンリク・マス