4年に1度開催される『デフリンピック』。デフ(Deaf)とは「耳がきこえない」を意味し、デフリンピックは「耳がきこえない・きこえにくい人のため」の国際的な大会である。
この大会が2025年秋、東京で開催される。
デフリンピックとは
デフ(Deaf)…耳のきこえないアスリートを対象とした、4年に1度開催される国際大会。オリンピックやパラリンピックと同じように多数の競技が実施され、自転車競技としてはロードとマウンテンバイクが実施される。
競技の際には、合図であるピストルの音を旗やタイム表示に置き換えるなど、さまざまな工夫が施される。
なぜパラリンピックと区別されているのか
「障害を持つアスリートの最高峰大会」といえば、多くの人がまず考えるのが「パラリンピック」だろう。パラリンピックにはさまざまな障害を持つ選手が出場しているものの、ろう者アスリートは出場していない。
その理由の1つは「そもそもデフリンピックの方が先に始まっているから」という点。デフリンピックは1924年に初開催されており、国際パラリンピック委員会が発足したのはそれより遅れること60年の1989年だった。
国際ろう者スポーツ委員会も一度は国際パラリンピック委員会に加わっていたものの、「デフリンピックの独創性を維持する」などを理由に1995年に脱退。現在に至るまでパラリンピックとは別の独立した大会として開催され続けている。
参考:「デフリンピック」を知っていますか – 同志社女子大学
100周年、初の日本開催
『第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025』
2025年はデフリンピックが始まって100周年の年。そのメモリアルな大会が、東京にて行われることとなる。デフリンピックの100年の歴史の中で、日本開催は2025年が初めて。11月15日~12日間にわたり、21競技が開催。70~80の国・地域より選手・スタッフ合わせて6000人が参加予定だ。
自転車競技としてはロードとマウンテンバイクが実施。会場は東京2020オリンピックと同様に、伊豆の日本サイクルスポーツセンターとなる。
(新型コロナ禍によって延期された)2022年のカシアス・ド・スル(ブラジル)大会では、日本選手が4つのメダルを獲得しており、日本のデフライダーたちの活躍も期待できる。
デフアスリートからメッセージ🔥#箭内秀平 選手 デフ自転車(MTB)#早瀬久美 選手 デフ自転車(MTB/ロード)
東京2025デフリンピックに向け、本県開催予定の自転車競技選手のお2人から、メッセージいただきました!伊豆で勇姿が見られるよう応援しています🙌
みんなで応援しよう!#tokyoforward2025 pic.twitter.com/VZYDk0r53i— 静岡県スポーツ局 (@shizuokasports) December 12, 2023
ロード
デフのロードレースは耳のきこえる人と同様の国際ルールに準拠して行われるが、スタートを旗やタイム表示等によって伝えることで、目で見てわかる工夫が施される。
2022年にカシアス・ド・スル(ブラジル)で開催されたデフリンピックでは、男女それぞれで
1000mスプリント
個人タイムトライアル
ロードレース
ポイントレース
の4種目を実施。日本選手としては簑原由加利が女子タイムトライアル・ロードレース・ポイントレースで銅メダルを獲得している。
MTB(マウンテンバイク)
野山の未舗装の道を駆け抜けるマウンテンバイク クロスカントリー種目。こちらもロードと同じく、耳に頼らずに走れる工夫をしつつ、国際ルールで実施される。
2022大会では早瀨久美が銀メダルを獲得している。