2024年9月4日、イギリスのトラック競技選手ダニエル・ビッガムがレッドブル ボーラ・ハンスグローエの「エンジニアリング責任者(Head of Engineering)」に就任したことが発表された。

現役選手でありながらサイクリング技術のプロフェッショナルとして働くビッガムの、ユニークな経歴がまた更新された。

ダニエル・ビッガム プロフィール

イギリスの自転車競技選手。トラック中長距離やロードTT種目で活躍する傍ら、UCIワールドチーム(ロード)の「INEOS Grenadiers」にて、”パフォーマンス・エンジニア“という役職のスタッフとして活動しており、2022年8月にはINEOS Grenadiersによるバックアップの下、アワーレコードに挑戦。55.548kmで世界記録(当時)を樹立している。

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なおこの挑戦はチームメイトのフィリポ・ガンナ(イタリア)のアワーレコード挑戦のためのデータ収集も兼ねたもの。約2ヶ月後に、ビッガムの走りで得たデータをもとにガンナが「56.792km」で世界記録を更新している。

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ビッガムは、直近の2024パリオリンピックではチームパシュートにて銀メダルを獲得。パリオリンピック後に「INEOS Grenadiers」を辞し、「レッドブル ボーラ・ハンスグローエ」へ移ることとなった。

レッドブル ボーラ・ハンスグローエ

UCIワールドチーム(ロード)「レッドブル ボーラ・ハンスグローエ」が現在の形で稼働し始めたのは2024年夏から。

日本でもよく知られたエナジードリンク企業「レッドブル」が2024年ツール・ド・フランスよりメインスポンサーとなっており、同社はさまざまなスポーツにおける選手を「レッドブルアスリート」として支援していることでも有名。日本の例を挙げると、BMXの中村輪夢などがいる。

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中村輪夢

そのような背景もあってか、当時のリリースでは「他のスポーツにおける成功、そしてオーストリアとロサンゼルスに位置するレッドブル・アスリート・パフォーマンス・センターが提供するスポーツパフォーマンスの独自データによって、大きな恩恵を受けることになる」と、技術面でのさらなる充足化もアピールしている。

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エンジニアリング責任者とは

ダニエル・ビッガム, BIGHAM Daniel, GBR, 男子個人パシュート 予選, MEN Elite Individual Pursuit Qualification, 2023世界選手権トラック グラスゴー, 2023 UCI CYCLING WORLD CHAMPIONSHIPS TRACK Glasgow, Great Britain

ダニエル・ビッガム

ビッガムが就くこととなる「エンジニアリング責任者(Head of Engineering)」は、「チームパートナーやレッドブル関連企業と連携し、パフォーマンスの最適化と、サイクリングへの新しい革新的な技術の統合に注力」するエンジニアリング部門の責任者と説明されている。

2018-2019 Tissot UCI Track Cycling World Cup II Men's Team Pursuit

(中央)ジョナサン・ウェール

なお今回ビッガムとともにジョナサン・ウェールも同部門に加入することになっている。ウェールもイギリス国内選手権優勝の経歴を持つトラック競技選手であり技術者。HUUBワットバイクトラックチームや2022年のダブル世界アワーレコード挑戦など、多くのプロジェクトでビッガムと協力してきた人物。歴戦の相棒とともに新たなプロジェクトに挑む。

Dan Bigham becomes Head of Engineering at Red Bull – BORA – hansgrohe