出産後も世界トップで活躍
世界一に輝いたトラック競技からロードへ転向し、再び世界一に上り詰めたエリザベス・ダイグナンだが、2023年1月時点ではロードレースのシーンから一時的に離れている。
というのも2022年初旬にダイグナンは妊娠を発表しており、同年9月の出産に向け産休を取っていたのだ。
ダイグナンは2018年にも第1子を出産しており、出産後の2019年には復帰。パリ〜ルーべをはじめ『ジロ・デ・イタリア ドンネ』などの大舞台で輝かしい成績を残してきた。
2018年の妊娠期間中にダイグナンと選手契約を結んだUCIウィメンズワールドチームの「Trek-Segafredo」は、第2子の妊娠発表後も、全面的な出産・復帰に向けたサポートを行っていくとし、2024年末までの契約延長を発表した。
チームはダイグナンの高い実力と、本人が担う自転車競技におけるアンバサダー的な存在を本契約延長の理由に挙げている。
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「模範選手が多くいる」
第2子妊娠を発表したエリザベス・ダイグナンのコメントから一部抜粋しご紹介する。
「もう1人子どもを出産しても、自転車競技に復帰する自信がありました。
キャリアを継続していくなかで、以前までは子どもを2人どころか1人出産することですら想像もしていませんでした。しかし現在では、自転車競技に同じように復帰し活躍している模範選手が多くいます。特に年齢を重ねた後に再び活躍する選手を多く見てきました。
30代の妊娠とともに競技から引退しなければならない、というステレオタイプはもう私のなかにはありません」
出典参照:Trek-Segafredo(2022年2月23日)
自転車競技選手として唯一の叙勲
今回エリザベス・ダイグナンは、1年に2回ある大英帝国勲章の叙勲者発表のうち、「New Year British Honour’s List」という新年に行われる式典の叙勲者に選ばれた。
様々な分野の叙勲者が本式典に向け選ばれたものの、自転車競技選手として選ばれたのは、エリザベス・ダイグナンのみ。
「女子ロードサイクリングを牽引」
この発表に対し、イギリス自転車競技チームのパフォーマンスディレクターを務めるStephen Park氏は、以下のようにコメントしている。
「リジー*の素晴らしいキャリアが認められ、本人がMBEを叙勲したことを大変嬉しく思い、心よりお祝い申し上げます。
2015年にロード世界チャンピオンとなり、2021年に『パリ〜ルーベ ファム』で史上初の優勝を成し遂げた実績は、本勲章に大いに値するものでしょう。
15年以上にもわたり、リジーは世界最高レベルの舞台でイギリスを代表し、女子ロードサイクリングを牽引してきました。第2子を出産し復帰を予定している2023年が、彼女にとってどんな年になるのか非常に楽しみです。おめでとうリジー!」
※Elizabethという名から「Lizzie」と呼ばれている。
参照:British Cycling(2022年12月30日)
「New Year honours List 2023」
多様な選手キャリアへの認知
以上本記事では2023年の大英帝国勲章(MBE)を叙勲したエリザベス・ダイグナンについてご紹介してきた。
その他様々な選手が活躍することでチーム数や最低賃金の増加など、制度の面でも発展が見られる女子ロード。
出産後も現役トップ選手として活躍するダイグナンのように、多様な選手キャリアへの認知が広がれば、自転車競技選手を目指す人口も増え、またそうした選手たちに対する支援の動きも増えてくるだろう。
選手1人ひとりが持つストーリーにも注目し、自転車競技を応援・観戦してほしい。