ロードレースのヒエラルキー

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「UCIワールドツアー」とは

107th Tour de France 2020 - Stage 1 (Photo by Stuart Franklin/Getty Images)

Photo by Stuart Franklin/Getty Images

男子ロードレース界の中で最高位の”第1ディビジョン”を、もしくはその”第1ディビジョン”に登録されている大会群を「UCIワールドツアー」と呼ぶ。(以下ワールドツアー)

グランツールの3大会や、モニュメント5大会*、その他クラシックと呼ばれる大会を含め、2022年シーズンは約30大会がワールドツアーの大会として登録されている。

このワールドツアーとして登録されている大会に出場できるチームは、UCIワールドチームと、特別に招待を受けた一部のUCIプロチームのみ。

また、ワールドツアーに登録された大会のほとんどは、ヨーロッパにて開催されているのも1つの特徴となっている。

※モニュメント:「パリ〜ルーベ 」などの歴史と格式のあるクラシックレースのなかで、特に格式が高いとされる5大会の通称。すべて1日で完結するワンデーレース。

ワールドツアーに出場可能なチーム

・UCIワールドチーム(原則全18チームが出場の義務あり)
・招待を受けたUCIプロチーム
・開催国のナショナルチーム(PCC*が要請した場合のみ)

PCC:UCIプロフェッショナル自転車競技評議会(ワールドツアーの専門運営組織)

参照:UCI Regulations Road Race Chapter XV UCI WORLDTOUR日本語版

「UCIプロシリーズ」とは

男子ロードレース界の中でワールドツアーに次ぐ”第2ディビジョン”を、もしくはその”第2ディビジョン”に登録されている大会群を「UCIプロシリーズ」と呼ぶ。(以下プロシリーズ)

2022年シーズンは「ミラノ〜トリノ」「パリ〜ツール」などを含む世界各地で開催される50大会以上がプロシリーズに登録されている。

日本で開催される大会のなかでは「ジャパンカップ」が唯一、プロシリーズに登録されている大会。

少しややこしいのが、プロシリーズのうちヨーロッパで開催される大会と、その他の大陸で開催される大会で、出場できるチームの種類が若干異なるということ。

ヨーロッパで開催される大会の方が、出場条件が厳しく設定されている。

またプロシリーズは、UCIコンチネンタルチームが出場できる大会の中では最高位のディビジョンだ。

ヨーロッパ開催のプロシリーズに出場可能なチーム

・UCIワールドチーム(1大会に出場するチーム数のうち最大70%まで*)
・UCIプロチーム
・開催国のUCIコンチネンタルチーム
・開催国のUCIプロシクロクロスチーム
・非開催国のUCIコンチネンタルチーム(最大2チームまで)
・開催国のナショナルチーム

※例)合計20チームが出場する場合、出場できるワールドチームは最大14チームまで。

その他4大陸で開催されるプロシリーズに出場可能なチーム

・UCIワールドチーム(1大会に出場するチーム数のうち最大65%まで)
・UCIプロチーム
・UCIコンチネンタルチーム
・UCIプロシクロクロスチーム
・ナショナルチーム

参照:UCI Regulations Road Race Chapter XVIII MEN ELITE UCI PROSERIES日本語版

「UCIコンチネンタルサーキット」とは

男子ロードレースの”第3ディビジョン”、もしくはその”第3ディビジョン”に登録されている大会群を「UCIコンチネンタルサーキット」と呼ぶ。(以下コンチネンタルサーキット)

UCI男子ロードレース会では、最も下層に位置するディビジョンだ。

またコンチネンタルサーキットは「ヨーロッパツアー」や「アジアツアー」などの各5大陸ツアーに分かれており、さらに各大会が「クラス1」と「クラス2」に分類されている。

2つのクラスのうち、上位に位置する「クラス1」の大会においては、どの大陸で開催されていても出場できるチームの種類は同一。

しかし、「クラス2」の大会では、ヨーロッパで開催される大会とその他の4大陸で開催される大会で、出場枠に違いがある。

主に、ヨーロッパで開催される「クラス2」の大会に出場できるUCIプロチームは、チームの国籍による条件が設けられているのに対し、その他4大陸で開催される「クラス2」の大会にはどの国のUCIプロチームも出場可能、という違いがある。

「クラス1」に出場可能なチーム

・UCIワールドチーム(1大会に出場するチーム数のうち最大50%まで)
・UCIプロチーム
・UCIコンチネンタルチーム
・UCIプロシクロクロスチーム
・ナショナルチーム

ヨーロッパ開催の「クラス2」に出場可能なチーム

・開催国のUCIプロチーム
・非開催国のUCIプロチーム(最大2チームまで)
・UCIコンチネンタルチーム
・UCIプロシクロクロスチーム
・ナショナルチーム
・その他の地域チーム・クラブチーム

その他4大陸で開催される「クラス2」に出場可能なチーム

・UCIプロチーム
・UCIコンチネンタルチーム
・UCIプロシクロクロスチーム
・ナショナルチーム
・その他の地域チーム・クラブチーム
・アフリカ諸国混合チーム

参照:UCI Regulations Road Race CALENDAR AND PARTICIPATION 2.1.002 / 2.1.005日本語版

では次に、以上のような異なる種類のロードレース大会に出場できる、「UCI」の名を冠するロードレースチームの種類について、それぞれどんな種類のチームなのか解説していく。

「UCIワールドチーム」とは?チームの種類を解説

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