高難易度コースでの世界トップ争い
7月26日、東京オリンピック開幕から4日目。オリンピック開催期間中、毎日行われる自転車競技は、公道を走るロードレースから一転、場所を静岡県伊豆市へと移し、今度はオフロードを走るマウンテンバイク(MTB)クロスカントリーが行われた。
2019年のオリンピックテストイベントで初めて公開された新設の伊豆MTBコースは、観客だけでなく選手・関係者の度肝を抜いた。激坂セクションやテクニカルな下りのセクションなど、近年のMTBクロスカントリーのコースの傾向にもあるように非常に難易度が高く、見どころがたくさんの1周およそ4kmのコースだった。
今回のスタート位置は2021年7月6日時点でのUCIランキング順で決まった。
前回王者のニノ・シューター(スイス)や、マティアス・フルッキガー(スイス)、現世界王者のヨルダン・サルー(フランス)などが1列目に並び、注目のマテュー・ファンデルプール(オランダ)は2列目。トーマス・ピドコック(イギリス)や日本の山本幸平は4列目スタートとなった。
38選手がスタート
全29か国、38人の選手がスタートを切った。
レースは、およそ4kmのコースを7周回+周回コースよりも短い1.3kmのスタートループで行われた。
全力のスタートダッシュから「天城越え」と呼ばれる激坂をヴィクトル・コレツキー(フランス)が先頭で通過すると、アントン・クーパー(ニュージーランド)やフルッキガーが続く。後方では激坂区間で詰まってしまい、バイクを押す選手も。早速先頭と後方で差が開いていく。
1周目に入ってすぐ、大きな岩からまるで飛び降りるような「散り桜(Sakura Drop)」と呼ばれるセクションで、優勝候補と目されていたファンデルプールが、前輪が先に落ちてしまうような形で転倒してしまう。
ここでレースを降りるかと思われたが、集団から1分ほどのところで追走し続ける。
そこから数人を抜いていき、どんどんと順位を上げていったが、ラスト2周を残したところでリタイヤを選択した。