1周250mとそれ以上
異なる点「その1」は、バンク1周の距離が250mかそれ以上かどうかという点。
厳密には「1周133〜500mのベロドロームであれば、トラック競技の大会を開催できる」とUCIは定めている。しかし世界選手権やオリンピックなど重要度の高い大会は、1周250mのベロドロームでしか開催できない。またアワーレコードや世界記録なども、1周250m以外のベロドロームでは挑戦できないことになっている。
参考:UCI規定 TRACK CYCLING CHAPTER 3(P. 116, トラックの構造) , UCI規定 TRACK CYCLING CHAPTER 3(P. 124, 自転車競技の公認) , UCI規定 TRACK CYCLING CHAPTER 3(P. 99, 世界記録)
一方競輪では、様々な周長の競輪場が存在する。全43箇所ある競輪場の周長は、1周250m、333m、335m、400m、500mの5パターン。
周長の基準のみで言えば、競輪場でもトラック競技の大会を開催できる。実際に1周335mの前橋競輪場で開催された「2020全日本自転車競技選手権トラック」など、競輪場で開催されるトラック競技の大会の例もある。
※あくまで周長の基準のみを考慮した場合。その他の基準も満たさないとUCIの認めるトラック競技の大会は開催できない。
ちなみに競輪場では各競輪場における残り半周のベストタイム「バンクレコード」がそれぞれ記録されている。種目ごとに世界記録があるトラック競技に対して、競輪は43の競輪場ごとに記録が存在する。
斜度(カント)
周長の違いに付随して、カント(斜度)にも違いが出る。
ベロドロームや競輪場はすり鉢状に角度が設けられている。最大時速50〜80kmで走る選手達がコーナーを回ろうとすると、大きな遠心力が掛かるため、選手が安全に走行できるようにコーナー部分を斜めにしているのだ。
ベロドロームのカントは最大約45度、競輪場は最大約30度。周長が短いほどカントが急になり、長いほど緩やかになる。