スプリント:10秒台、そしてフォーゲルの壁
アジア選手権トラック2018へ日本から出場したのは前田佳代乃選手と太田りゆ選手。
2人とも短期的な目標として200mのハロンのタイムの自己ベスト更新を語っていた。結果として太田選手は自己ベストを更新する11秒287、そして前田選手は高地のアグアスカリエンテスで記録した自己ベストの11秒014へ僅かに届かない11秒019であった。
太田選手はまだ競技を始めて日が浅い。順調に実力を付けつつあるものの、本人は結果に全く納得していない様子だった。
前田選手は、高地で出した記録に迫り、成長を示したが、やはり太田選手同様に納得がいかない様子だった。
今回は出場していないが、もう一人のナショナルチーム短距離の女子メンバー小林優香選手と“10秒台”を出すことを目指しているので当然といえば当然だが、今回のタイムは一歩前進したタイムだろう。
ただし、スプリント予選のハロンで1位の李慧詩(香港)は10秒655、そして2位のイ・ヘジン(韓国)は10秒760とアジアのトップからは大きくスピードで離されている。世界トップのクリスティーナ・フォーゲルは、高地記録だが10秒384で世界記録を持っている。
技術ももちろんだが、何よりトップスピードが必要な短距離、その中でこのタイム差は大きい。これからもう1段階、2段階ステップアップしなければならないだろう。
対戦方式になってから前田選手は順調に準決勝まで進出。準決勝でハロントップタイムの李慧詩と当たり、勝ち進むことができなかった。スプリントの勝負は戦術やタイミングも重要といわれるが、やはりスピードの差は大きなアドバンテージとなる。
これから日本の女子選手が世界の舞台で戦うには、1にも2にもハロンのタイムを上げなければならないと感じる種目となった。
なお李慧詩や準優勝した鐘天使(中国)は世界でも指折りのスプリンターたち。今回優勝した李慧詩は特に調子が良さそうに見え、世界選手権でも良いところまで勝ち上がっていくのではないかと思われる。
兎にも角にも、女子の短距離はクリスティーナ・フォーゲル。無敵の女王との1対1には、今のところ勝てる選手は現れていない。