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その数秒前
しかし、この数秒前のこの写真をよく見て欲しい。
最初に讃えたのは和田健太郎の方であった。
郡司浩平の腕を掴み、掲げた。その後に郡司浩平が「いやいやオマエの勝利だよ」と言わんばかりに和田健太郎の腕を掲げていたのだ。
2着となった脇本雄太とラインを組んだのは別地区の平原康多。最終周回の4コーナー、先行する脇本。外側を駆けて来た清水裕友を止めるべく平原康多はブロック。そのまま行けば自らが勝利を掴む可能性があったにも関わらず、それを投げ売ってまで自らの役割を果たし通した。
平原康多はレース後のインタビューでも「他地区で後ろに付いているのに、何もせずに最後を差したら自分が最低な選手だと思いますので、それは出来なかったです」と語った。
競輪にはトラック競技のKEIRINと異なり、ラインがある。勝者は一人だがチーム戦…ここが競輪の奥深さであり、面白さでもある。今年のグランプリにもドラマがあった。