若手を「育成」できる段階へ
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小原佑太
「次の第6戦、カナダ・ミルトン大会は未来のための試金石にしたいと思っています。ですので若い選手を中心に出場する予定です」
強いチームであればあるほど、若手育成の場を”本番”の舞台で設けることが出来る。
イギリスもオランダもオーストラリアも、どのチームもそうすることで若手に経験を積ませてチーム全体の層を厚くしていく。
日本チームは遂に強者のサイクルに入った。
そう思えるブノワコーチの一言。
しかし油断はまだまだ禁物。
最初から信じていた
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「我々はオリンピックの出場枠獲得のみを狙っているわけではありません。(チームスプリントは)世界のトップ8に入らなければ枠の獲得は出来ませんが、枠を獲得するだけでなく、その後の挑戦をしたいです。今、チームはとても良くなってきていますし、走る毎に成長を見せています。この状態を保ち、もっと上を狙わなければいけません」
結果を出すに連れて選手たちと同じように熱を帯びていく名将の目。
その両の眼(まなこ)で見ているのはチームスプリントだけではない。
自分の教え子たちには無限の可能性がある。そう最初から信じていた。
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左からジェイソン・ニブレット、深谷知広、ブノワ・ベトゥ、新田祐大
「深谷は本物のスプリンターだということを今シーズンで証明しました。新田は私が数年前から期待し続けていたことが少しずつ出来るようになってきました。数年前から新田は今のように走れると確信していましたが、彼自身が感触を掴むまでに時間が掛かったのだと思います。深谷と新田、この2人に関しては今の結果は何も不思議ではありません」
確信していたことが現実となった。
しかし更なる高みを目指さなければいけない。
現状に満足していては成長が止まってしまう。
そのことを指揮官は告げる。
「もちろん現状は嬉しいですが、嬉しすぎてもいけないと思っています。選手も同じように考えなければいけません。良い部分もあればまだまだ悪い部分もあります。私を含めて誰もが冷静になり、良い部分を更に伸ばして、成長を続けていかなければと思います。我々はまだ本当の1番ではないですし、これからもっと強くならなければいけません。まだまだ選手たちに満足してもらいたくないですし、まだまだ挑戦は続きます」
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