韓国で開催された『アジア選手権トラック2020』は21日、大会最終日に男女マディソンが行われた。男子は窪木一茂(チーム ブリヂストン サイクリング)と橋本英也(JPCU岐阜/チーム ブリヂストン サイクリング)で挑み、銀メダルを獲得。女子は梶原悠未(筑波大学)と中村妃智(日本写真判定株式会社)でメダル獲得を狙ったが、レース中盤に失速し5位。メダル獲得はならなかった。
男子マディソン
男子マディソンには日本のトラック中距離界の2大エース、窪木一茂(チーム ブリヂストン サイクリング)と橋本英也( JPCU岐阜/チーム ブリヂストン サイクリング)がペアを組んで出場した。
窪木はリオ五輪日本代表として活躍し、今年の全日本選手権では4冠を達成。一方、橋本は今大会のオムニアムでアジア選手権4連覇を達成している。
そんな2人がタッグを組んだ前回のアジア選手権大会は、韓国と中国の前に屈し銅メダルに終わった。その雪辱をはたすべく、今回悲願のアジア制覇を目指して戦いに挑んだ。
今回の出場チームは8チーム。周回数は160周。距離にして80kmで行われるタフなレースは、10周回に1回ポイント周回が設けられ、フィニッシュラインを通過する順位によって、1着5点、2着3点、3着4点、5着1点を加算され、最終的に合計ポイントで優勝チームが決定する。
チームは2人1組。レースを走る選手は途中に何度も交代することでき、協力して得点の積み上げを目指していく。その分、個人レースよりさらにハイペースな展開となる。
レース序盤、カザフスタンが積極的にペースをあげて得点を積み重ねていく。日本は、2回目のポイント周回で窪木がロングスプリントで1着をとるなど、コンスタントにポイントは加算させていくものの、カザフスタンの勢いは止まらなかった。
レースのちょうど半分、8回目のポイント周回(残り80周回)までにカザフスタンは5回の1着通過を果たす。これにより35点まで得点を伸ばしていくカザフスタンに対して、日本と韓国が食らいついていく展開だ。
8回目のポイント周回通過後の暫定順位
1位 | カザフスタン | 35点 |
2位 | 韓国 | 18点 |
3位 | 日本 | 16点 |
そして、ここから日本と韓国の壮絶な得点争いが始まっていく。
8回目のポイント周回手前で窪木がアタックし後続を引きちぎり1着通過。しかし、韓国もしっかりと2着に入り得点を重ねる。
残り46周で香港チームがアタックすると日本が反応。2チームで逃げて逆転を狙った。
しかし、13回目のポイント周回(残り30周回)手前で韓国が追いつき、韓国が1着通過。
そのカウンターを狙って橋本がアタックすると、今度は日本、韓国、香港、イランの先頭集団が形成される。この攻撃によりカザフスタンが遅れ、単独で追走することになった。
その後も、暫定1位のカザフスタンが先頭に追いつけないまま、韓国と日本が互いに連続して5点を重ねていく。
そして15回目のポイント周回(残り10周)を終えた時点の順位は
1位 | 韓国 | 40点 |
2位 | カザフスタン | 39点 |
3位 | 日本 | 38点 |
2位のカザフスタンは、前半の疲れがあきらかとなり完全に失速。先頭を追走するも一向にペースは上がらない。
これにより、日本と韓国のゴール勝負でアジア王者が決まることがほぼ確定していく。
残り5周。日本チームは橋本に勝負を託し、交代なしで最後まで行くことを選択し、残り2周で渾身のアタックをしかける。橋本は韓国を突き放し勝負を決めにかかったが、韓国が猛追を開始。
会場に詰めかけた地元ファンらが韓国チームに大声援を送る中、残り1周を切って更に橋本へ迫る。そして、最終ストレートでついに橋本をかわし先着。
結果、韓国が逃げ切り優勝。この種目2連覇が決定した。
レース後、橋本は「いける距離だと思ったんですけどね、韓国が強かったです。でも接戦に持ち込めて良い感じに盛り上がりましたね」と悔しさを滲ませながらレースを振り返った。
今回で世界選手権の出場権は獲得できなかったものの、ワールドカップシーズンでは再びこの2人がタッグをくんで世界に挑戦する予定だ。
窪木は「もっとコミュニケーションをとって、しっかり準備して世界と戦っていきたい」と世界舞台でこの悔しさをぶつけることを誓った。
優勝:韓国 (シン・ドンジン/キム・ユーロ)50点
2位:日本 (窪木一茂/橋本英也)44点
3位:カザフスタン(ザカロフ/ヴァシレンコフ)23点