華やかさと圧倒的スピードで競輪ファンを魅了する「ガールズケイリン(女子競輪)」。2026年は7年ぶりに海外トップ選手を招聘した「競輪ワールドシリーズ」も開催され、さらなる注目を集めた。

マチルド・グロ 競輪ワールドシリーズ第10ラウンド

そんなガールズケイリンだが、今回は2026年9月時点の最新賞金データに目を向けてみよう。これを見ることでガールズケイリンの驚異的な進化と、それを取り巻く市場の熱量が浮かび上がってくる。

8ヶ月で前々年の「年間女王」を超えるハイペース

佐藤水菜と、競輪ワールドシリーズで日本の競輪にも出走したヘティ・ファンデルワウ

現在のガールズケイリンの「顔」とも言えるのが、女子のトップを独走する佐藤水菜(神奈川・114期)。自転車トラック競技でも世界トップ選手として活躍し、競技に軸足を置く都合上、国内の競輪のレースへの出走回数はさほど多くない。しかし少ない出走回数ながら、2026年は出場した全レースで1着。年間4回行われるG1開催も、ここまでに行われた3開催(オールガールズクラシック、パールカップ、女子オールスター)すべてで優勝している。

そんな佐藤の獲得賞金は、9月2日時点で早くも3629万1000円に到達。

この数字のすごさを実感するには、一昨年の2024年、女子年間獲得賞金ランキングで1位に輝いた石井寛子(東京・104期)の「年間総合」の獲得賞金を見るとわかりやすい。この時の石井の年間総合獲得賞金は3564万4000円。佐藤はまだ4ヶ月近くを残した9月頭の段階で、すでにその年間総合の額を上回っている状態だ。

佐藤の3629万円という額は、男子の賞金ランキングと比較しても驚異的だ。9月2日時点で男子33位の渡邉雅也(3621万7000円)と肩を並べる賞金額であり、男子の「トップ50(50位 松谷秀幸:3031万9600円)」という非常に厚い壁の中に、女子選手としてただ1人堂々と割って入っている。

桁では負けても、伸び率では負けない

「サトミナ(佐藤水菜)はすごいけど、それでも30位台なんだ……」と思ってしまうファンもいるかもしれない。競輪ワールドシリーズで来日した女子選手が「ガールズケイリンがさらに良くなるために必要なものは『モアマネー』と答えた」というスポニチのコラムがあったが、実際、男子の賞金と桁が違うのは事実。2026年のKEIRINグランプリの賞金が1億5400万円であるのに対し、ガールズグランプリは1500万円と、まだ大きな開きがある。

しかし「前年度からの伸び率(成長スピード)」を見てみると、景色は一変する。

ガールズケイリン主要レース賞金額

単位:円

2025 2026 前年度比
オールガールズクラシック 7,000,000 10,000,000 142.9%
パールカップ 5,000,000 7,000,000 140.0%
女子オールスター 7,000,000 10,000,000 142.9%
競輪祭女子王座戦 5,000,000 7,000,000 140.0%
ガールズグランプリ 10,000,000 15,000,000 150.0%
年間合計 34,000,000 49,000,000 144.1%

男子競輪主要レース賞金額

単位:円

2025 2026 前年度比
全日本選抜競輪 40,000,000 43,000,000 107.5%
日本選手権競輪 87,000,000 96,000,000 110.3%
高松宮記念杯競輪 50,000,000 55,000,000 110.0%
オールスター競輪 63,000,000 69,000,000 109.5%
寬仁親王牌 43,000,000 47,000,000 109.3%
競輪祭 50,000,000 55,000,000 110.0%
KEIRINグランプリ 140,000,000 154,000,000 110.0%
年間合計 473,000,000 519,000,000 109.7%

男子の賞金額が多くても10%程度の増額幅である中、女子はすべての主要大会で40%〜50%もの賞金アップが断行されている。これは、ガールズケイリンに対する期待感や市場価値が、男子以上の勢いで成長している証拠と言えるだろう。

自身の持つ「年間獲得賞金」超えなるか

ここで注目したいのが、佐藤自身が2025年に打ち立てた女子年間最高額「4842万5000円」という金字塔だ。

昨年(2025年)は年間のG1とグランプリ(GP)をすべて制覇するという、完璧なシナリオでこの記録を達成した佐藤だったが、今年も9月時点で全勝をキープしている状況。そして先ほど確認したとおり、いずれのビッグレースも賞金額が昨年より大幅アップしている。

もしもまた「年間全冠制覇」ができれば、それに伴う「自身の年間賞金記録のさらなる更新」も現実味を帯びてくる。

3000万円台に何人が届くか?

注目したいのはそれだけではない。

9月頭時点で女子2位の太田りゆは2138万円、3位の児玉碧衣は2011万円で、2000万円台から佐藤を追いかけている状況。しかし女子の賞金体系が「前年比1.4倍以上」に大きく跳ね上がった今年、年末のグランプリの結果次第では、佐藤だけでなく太田、児玉も年間獲得賞金3000万円台に入る可能性がある。ガールズケイリンの年間獲得賞金において、3000万円台が複数人というのは、これまでにない「快挙の年」となる。

黎明期を脱し、男子に劣らぬ人気コンテンツへと成長を遂げているガールズケイリン。佐藤水菜の前人未到の賞金額への挑戦だけでなく、ガールズケイリン界の成長という意味でも注目していきたい。

参考:KEIRIN.jp ランキング(2026年9月2日閲覧)

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