スポーツ強豪校として全国的に知られる青森山田高校。日々、勉強や部活動に打ち込む同校の生徒たちへ向けて、競輪関係者が講演を行う初めての試みとして、「競輪選手出前講座」が開催された。
これは、競輪選手という職業や自転車競技の魅力を若い世代に伝えることを目的として企画されたもので、競技の魅力だけではなく、社会貢献などの側面にも光を当てる内容となっている。
地元の競輪選手に加えて、『競輪ワールドシリーズ2026』で来日中の外国人選手3人(ジョセフ・トゥルーマン、エレセ・アンドルーズ、へティ・ファンデルワウ)が登壇するなど豪華な布陣で行われた。
生徒たちの未来に新しい可能性を提示した、講座の様子をお届けする。
多様な遍歴と競技への思いを語る選手たち
地元・青森からは小原佑太、熊谷芽緯の2人の競輪選手が登壇。
小原佑太
小原佑太選手は、「自転車競技で日本一を目指す」と父親に約束して大学に進学した経緯や、夢を叶えるために頑張り続けた経験などを語った。
「競輪や自転車競技をやっていて良かったことは、努力が結果や評価につながってたくさんの人に褒めてもらえること。みなさんもぜひ夢を思い描きながら高校生活を送ってください」
熊谷芽緯
熊谷選手は競輪選手の「稼げる」側面を強調。大学進学か競輪選手になるかで迷いつつ、最終的に早く働くことを選んだ自身の思い出話なども披露した。
「お金を稼げるというだけではなく、オンとオフを切り替えながら自由な働き方を自分で選べるのも、競輪選手の魅力。興味のある方はぜひ目指してほしいと思います」
へティ・ファンデルワウ
『競輪ワールドシリーズ2026』からはへティ・ファンデルワウ、ジョセフ・トゥルーマン、エレセ・アンドルーズの3人が登場。
ファンデルワウは、体操やスピードスケート、ロードレースを経験した後に、友人の影響でトラック競技に転向した話や、トラック競技の魅力について語った。
「落車をして大変だった経験もありますが、自転車競技はとても楽しく、世界のさまざまな場所に行けることが魅力。日本でも楽しい思い出を作れています。みなさんも、今自分が取り組んでいることを楽しんで、続けてください」
ジョセフ・トゥルーマン
子供の頃はテニスやサッカーに打ち込んでいたというトゥルーマン。厳しいトレーニングなどの大変な側面についても語りつつ、自転車競技愛を込めたコメントを生徒たちに送った。
「好きなことを仕事にできること、世界中に行けること、そうした楽しい経験をしながらお金を稼ぐことができて幸せです。みなさんも毎日頑張れば、きっとお金持ちになれますよ!」
エレセ・アンドルーズ
スキーや水泳、ダンスなど、バラエティに富んだ競技遍歴を持つアンドルーズ。家族の影響で自転車競技を始めたこと、日本の競輪とトラック競技の違いなどについて語りつつ、生徒たちに熱いメッセージを送った。
「スポーツとは本当に楽しいものです。その楽しさが自分にとってはパリの金メダルの原動力になりました。みなさんも“楽しいと思える”自分の夢を追い続けて頑張ってください。」
ワットバイクで大盛り上がり
舞台上には日本競輪選手養成所の入所試験でも使われるワットバイクが登場。さすがスポーツ強豪校というだけあって、みんな興味津々。
自転車競技部に剣道部、テニス部、美術部(!)など、さまざまな部活に所属する生徒たちが、みんなの前でその脚力を見せつけ、高い数値が出るたびに会場が沸いた。
競輪選手とは? どうすればなれるのか? を知る
後半には、公益財団法人JKAによる、競輪選手という職業についての解説があった。競輪とはどういう仕組みで行われるのか、という基本的な情報に加え、公益事業について説明するなど、多様な面を生徒たちに紹介。
さらに、養成所についての説明や、試験の流れなどについても解説。デビュー後の賞金の話になると、顔を見合わせて驚く生徒たちの姿も。
その後、青森競輪場で競輪選手の発掘・育成を行っている「RRB(RED RACER’S BASE)プロジェクト」について紹介。競輪選手に興味を持った生徒へ向けて、まず相談・体験できる場所があることを伝えた。
伝えた思い、受け取った思い
小原選手と会話をする、青森山田高校自転車競技部の部員たち。
講座の終了後、同校の自転車競技部部長の大志田陽さんは、「今日はトップアスリートのみなさんに会える機会ということで緊張していました。今、自分は短距離を走っています。もともと競輪選手になりたいとは思っていましたが、今日の話を聞いてその気持ちがより強いものになりました」と語った。
同じく部員の小山哲史さんは、「競輪も自転車競技も、夢がある世界だな、と思いました。稼げるという話ももちろんですが、いろいろな場所に行ける、という選手がたくさんいたので、その点も印象的でした」と、競技への魅力を再確認した様子。
今回の「競輪選手出前講座」は、青森市企画部競輪事業所の越田俊幸所長(写真左)と、日本競輪選手会青森支部・伊藤大志支部長(写真右)のやりとりの中から生まれたもの。
越田所長は今回の開催にあたり、企画に込めた思いをこう語る。
「競輪選手のなり手を増やすためには、大きな視点で、スポーツとしての自転車を広く知ってもらう必要があると思っていました。その先に、『競輪選手』という選択肢があると伝えたかった。今回の講座は、そうしたきっかけの1つとして企画しました。まず第1回を実現できたことが、大きな一歩だと思っています」
また、自身が青森山田高校の出身である伊藤支部長は
「久々に母校に帰り、懐かしい先生方とも顔を合わせて、こうした普及活動ができたことが嬉しいです。選手たちの他競技での経験を紹介することもできましたし、ワットバイクのコーナーでは、さまざまな部活の生徒が挑戦してくれました。これが、生徒のみなさんに競輪の多様な側面、魅力を知ってもらうきっかけになれば幸いです」
と、企画が実現した喜びを語った。
学校で競輪について知ることができる貴重な機会となった「競輪選手出前講座」。今回の開催をきっかけに、第2回、第3回と続いていくことを期待したい。そして将来の競技や競輪選手で活躍する人材がここから生まれることも併せて期待したい。
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「競輪ワールドシリーズ」とは?
1982年より「国際競輪」としてスタート、2009年より「短期登録制度」として行われていた外国人選手招聘レース。新型コロナウイルス感染症の影響などもあり2020年度以降中断されていたが、7年の時を経て復活する。
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